投稿日:2023.7.12
唾液の効用とは?歯列矯正中もお口の健康を守る 唾液の重要性について
こんにちは!札幌キュア矯正歯科です。
当院のブログを見つけてくださりありがとうございます。
皆さまは、唾液の効用についてご存じですか?
「口を潤すだけでは?」
そう思っている方もいるかもしれません。
しかし、食べ物を消化する酵素が含まれていたり、お口の中の細菌を洗い流す自浄作用があったりと、さまざまな役割があります。
つまり、唾液は私たちの口内環境を守る上で大切な役割を果たしているのです。
そこで本記事では、唾液の6の効用や分泌を促す方法、歯列矯正中に量が増える原因について解説します。
目次
唾液とは
唾液とは「唾液腺」という器官から分泌される分泌液のことを言います。成分は99%以上が水分です。
しかし、残りの1%には、消化を助ける酵素や体内の水分バランスを調整する電解質など、重要な成分が含まれています。
分泌量は個人差はありますが、毎日に1~1.5ℓも分泌されていると言われています。
ただ、唾液の質や量は人によって異なり、その違いが虫歯や歯周病のリスクに影響を与えることがあります。
唾液の6つの役割
唾液は普段は気に留めない方がほとんどかと思いますが、私たちが生活するうえでなくてはならない存在です!
そんな唾液の役割を6つご紹介します。
粘膜保護・潤滑
お口の中を唾液が覆うことで、刺激や細菌感染を防ぎます。
また、歯の表面のエナメル質が溶けてしまう現象「脱灰(だっかい)」を防ぎ虫歯のリスクを軽減します。
さらに、食べ物を湿らせてまとめることで、飲み込みやすくしてくれます。
飲み込みづらさを感じている方は、食事の前に少し唾液を出すように意識すると良いかもしれません。
また、潤いによって舌の動きがなめらかになり、会話がスムーズにできます。
自浄作用
食事のたびに分泌される唾液は、口の中に残った食べ物の食べカスや汚れを洗い流す作用があります。
これにより、細菌の増殖を抑えてくれて、虫歯や歯周病予防につながります。
味を感じやすくする
よく噛むことで唾液の分泌も促進されます。
また、舌の上には「味蕾(みらい)」という味を感知するセンサーがあります。
食べ物が唾液と混ざり、味物質が唾液に溶け出すと味を感じることができるのです。
さらに、よく噛んで食べることで食べ物が細かく砕かれ、唾液と触れ合う面積も広がります。
すると、より多くの味物質が唾液に溶け出し、味蕾がそれをキャッチ。
食材本来の味が引き出され、よりおいしく感じられるというわけです。
消化作用
唾液には「アミラーゼ」という消化酵素が含まれており、デンプンを分解し消化を助けてくれています。
たとえば、白米をよく噛むほどに甘みが増すのは、このアミラーゼがデンプンを分解し、「麦芽糖」という甘み成分に変えているからです。
唾液は食べ物を消化しやすい形に変えて、胃腸での消化吸収をサポートしてくれます。
殺菌・抗菌作用
私たちの口の中には、常にたくさんの細菌が存在しており、その中には虫歯や歯周病を引き起こす悪い菌もいます。
唾液には、これらの細菌の増殖を抑えたり、殺菌したりする働きがあります。
また上記で解説した自浄作用が協力することで、常にお口の中を清潔に保つことができるのです。
再石灰化作用
食事をすると、口の中では食べ物が分解され、その過程で酸が発生します。
この酸は、歯の表面のエナメル質からカルシウムやリンなどのミネラルを溶かし出す「脱灰」を引き起こします。
しかし、一時的に脱灰状態になっても唾液に含まれるカルシウムイオンやリン酸イオン、フッ素イオンといった
ミネラルが含まれており、これらが歯に付着することで溶け出したエナメル質を修復する「再石灰化」を促します。
ただし、甘いものや酸性のものを頻繁に摂取したり、歯磨きが不十分だったりすると、再石灰化が追いつかず虫歯のリスクが上がってしまいます。
緩衝作用
口腔内は基本的に中性を保っていますが、食事をすると唾液の緩衝作用が追いつかずに酸性に傾きます。
それを唾液が中和することで元に戻します。
口腔内のpHが5.5以下の酸性に傾くと脱灰が起こりやすいため、虫歯のリスクが高まります。
唾液が少なくなると・・・?
唾液は加齢とともに分泌量が少なくなったり、薬の副作用や病気によっても変化します。
唾液が少なくなると上記で解説した唾液による働きが得られなくなるため、食べ物がうまく飲み込めなくなったり、
口の中がネバネバしたりするなど、日常生活に支障が出るケースもあります。
口腔乾燥症については以前投稿した【口の中が乾燥する原因と症状別の治し方】をご覧ください。
唾液の分泌を促す4つの方法
唾液は毎日の工夫で分泌を促せます。ここでは、その方法を4つ紹介します。
よく噛んで味わう
食事の際は、一口30回を目標によく噛みましょう。
ガムやスルメなど噛み応えのある食品もおすすめです。唾液腺が刺激され分泌量がアップします。
こまめな水分補給
私たちの体は水分が不足すると、唾液の分泌量が減ってしまいます。
のどが渇く前にこまめに水分を摂るように心がけましょう。
口を動かす
家族や友人との会話は、自然と口や舌が活発に動き、唾液の分泌が促されます。
また、唾液を増やすだけでなく、表情筋のトレーニングにもつながる可能性もあります。
唾液腺マッサージをする
唾液腺を優しくマッサージすることで、唾液の流れがスムーズになります。
マッサージ方法は以下の通りです。
● 耳下腺マッサージ:耳の穴の前にあるくぼみを見つけ、そこを中心に円を描くように指を動かします。
● 舌下腺マッサージ:両手の親指をそろえ、あごの真下からグッと押します。
● 顎下腺マッサージ:下あごの骨の内側の軟らかい部分に親指を当て、骨に沿って5カ所くらいを順番に1~2秒押します。
食事を工夫する
唾液の分泌を増やすには、食事の内容にも工夫してみましょう。
たとえば、レモンや梅干しなど酸っぱいものは唾液腺を刺激し、唾液の分泌を促してくれます。
料理のアクセントにレモン汁をかけたり、食後に梅干しを食べるのもおすすめです。
また、スルメやフランスパンなど、よく噛む必要がある食べ物はよく噛むことによって唾液腺が刺激されるため、唾液の分泌量が増えます。
歯列矯正中は唾液が増えやすい?
歯列矯正を始めたばかりの方の中には、「唾液の量が増えた気がする」と感じている方もいるかもしれません。
実はこれ、決して気のせいではありません。歯列矯正によって唾液の分泌量が増加するケースは珍しくないのです。
その原因は、矯正装置です。私たちの体は口の中に異物が入ってくると、それを洗い流そうと唾液の分泌量を増やします。
特に、ワイヤーやマウスピースなどの矯正装置は、口腔内の粘膜を刺激するため、唾液腺が活発に働くようになるのです。
唾液が増えることでお口の中を清潔に保つことができ、虫歯や歯周病のリスクを減らすというメリットがあります。
しかし、過剰な唾液は会話や食事の際に不便を感じたり、口角炎を引き起こす可能性もあります。
まとめ
唾液は粘膜保護や自浄作用、殺菌・抗菌作用、再石灰化作用、緩衝作用など、さまざまな役割があります。
唾液の分泌量が減るとお口の健康が阻害されるため、日頃から分泌を促すように心がけることが大切です!
唾液の分泌量を維持するには、よく噛むことや唾液腺マッサージを行うのもいいですね。
もし、矯正中の唾液の分泌量について気になることがあれば、お気軽に当院にご相談ください!