投稿日:2023.5.12
「開咬とは? 噛み合わせの問題と解決策」
こんにちは、札幌キュア矯正歯科です。
当院のブログを見つけてくださりありがとうございます。
開咬(オープンバイト)は、前歯で噛むことができず、噛み合わせが悪いため、放置すると奥歯や顎に大きな負担をかけることになります。
「もしかしたら開咬かも?」と心当たりのある方や、すでに開咬の症状でお困りの方へ、今回は、開咬による悪影響や治療方法についてご紹介いたします。
開咬とは?
開咬、またはオープンバイトは、奥歯が噛み合っている状態であるにもかかわらず、上下の前歯が噛み合わずに隙間ができている状態を指します。
前歯の隙間による見た目の問題や、奥歯の負担が大きく前歯で噛みきれないなど、機能的な面でも問題がある不正咬合です。
開咬になってしまう原因
開咬は生まれつきに遺伝で起こる場合や、日常生活の悪習慣によって前歯が伸びることが阻害され噛み合わなくなることが原因になります。開咬になる原因は以下の通りです。
指しゃぶり
開咬が起こる原因の多くは、幼い頃の指しゃぶりです。
指しゃぶりをすることで、上の前歯は上に押し、下の前歯は下に押す力がかかり続けることになります。
さらに吸う動作によって頬の圧が内向きに働き、歯が並ぶ場所を狭くしてしまいます。
このような圧が徐々に歯を動かして開咬や出っ歯などの不正咬合を引き起こします。
口呼吸
口呼吸が癖になってしまうと、お口がぽかんと開いたままの状態になりやすく、舌の筋肉が衰えて、舌が低い位置や前に動かす癖に繋がり、開咬になってしまいます。
口呼吸は頬や唇の筋肉も衰えやすく、歯並びを悪化させやすくなります。
舌癖・舌の位置
開咬は舌が影響することが多く、舌を噛む癖や舌が前方に出る癖は開咬を悪化させます。
舌小帯が短い
舌の裏側にあるヒダ(舌小帯)が生まれつき短いと、舌の動きが制限されて、舌の位置が悪くなり開咬になることがあります。
乳歯の早期脱落
乳歯が通常の生え変わりのタイミングよりも早く脱落すると永久歯が生えてくるまで歯が無い状態が続くため、隙間に舌が入り込む癖がつきやすく、開咬を招きやすくなります。
遺伝
遺伝による骨格的な成長が原因で、下顎が小さい場合や、前下方向に成長することで開咬になることがあります。
開咬による悪影響
①咀嚼機能の低下
正常な噛み合わせでは前歯で食べ物を噛み切り、奥歯ですり潰す役割があります。
しかし、開咬は前歯で食べ物を噛み切ることができず、奥歯だけで咀嚼しているため、奥歯の負担が増えます。
全体で咀嚼が出来ないと、効率よく食べ物をすりつぶす事ができないため、十分に咀嚼できていないまま食べ物を飲み込んでしまうことが増えてしまいます。
その結果、消化不良を起こし、胃腸などの消化器官に負担をかけてしまう場合があります。
②ドライマウス・口臭の悪化
開咬は上下の前歯に隙間がある状態で、口が自然に開きやすくなるため、無意識のうちに口呼吸になりやすくなります。
口呼吸になると唾液の分泌量が減少し、口の中が乾燥します。
唾液には抗菌作用や自浄作用があるため、唾液の流れが減少するとこれらの恩恵が得られず、口内の雑菌が繁殖しやすくなります。
その結果、口臭が強くなるなど、口腔内の衛生環境が悪化してしまいます。
喉にも雑菌が侵入しやすくなるため、感染症にかかるリスクも高くなります。
③虫歯・歯周病が起こりやすくなる
口の中が乾燥することや、歯並びの悪さから虫歯や歯周病が起こる可能性も高くなります。
さらに、負担が大きい奥歯は、虫歯や歯周病に罹患すると進行が悪化しやすくなる傾向があるため、注意が必要です。
④奥歯への負担
開咬は奥歯しか噛み合わないため、奥歯に過度な負担がかかる不正咬合です。
一部の歯に力が集中すると、歯が擦り減る咬耗(歯同士がこすれ合ってすり減ること)を引き起こし、噛み合わせる歯の面が平滑になることや、亀裂が入ることがあります。最悪の場合、歯が破折して歯の寿命が短くなるリスクもあります。
⑤滑舌がしにくい
言葉を発音する時には、舌や口周りの筋肉などを使っています。
開咬は前歯に隙間があるため、息がもれてしまうことや、舌が前に出やすい傾向があるため、特に「サ行」「タ行」「ナ行」「ラ行」の音をはっきりと発音することが難しくなります。
舌足らずで聞き取りづらい発音になるため、人とのコミュニケーションに支障が出ることがあります。
⑥顎関節への負担
開咬は、顎に負担をかける噛み合わせであるため、顎関節症を引き起こすことがあります。
顎関節症は、口を開け閉めする時に顎がカクカクと音が鳴ったり、痛みが生じたりする症状があります。
顎に負担がかかることで、顎の関節円板が引っかかることや、ズレることが原因でこのような症状が起こります。また、症状が悪化すると口が開きにくくなることもあります。
顎から首肩の筋肉も緊張した状態になりやすいため、頭痛や肩こりが起こることもあります。
開咬は顔の印象にも影響する
面長になる
開咬は上下の前歯が開いている状態なので、鼻から顎先までの距離が長くなり面長に見えてしまいやすい特徴があります。
歯列矯正をすることで全体の歯がしっかり噛み合うので、面長な印象が改善されます。
唇を閉じにくい
開咬は噛み合わせの悪さから唇が閉じにくく、お口が開いたままになることが多いです。
唇を閉じようとすると、口角がへの字になったり、顎に力が入ってシワができたりして、困ったような表情になることがあります。
また、唇が自然と開いたままになると、口周りの筋肉のバランスが悪くなり、顔がたるみ、老けて見えてしまうこともあります。
開咬を改善することで唇が閉じやすくなり、自然な表情を取り戻すことができます。
開咬の治療方法
骨格による開咬
外科矯正(サージェリーファースト)
開咬の原因が骨格である場合には外科手術が必要になります。
外科矯正(サージェリーファースト)とは最初に外科手術を行うことで骨格のズレや歪みを改善させ、その後で矯正治療を行い噛み合わせの改善をする方法です。
この方法は、最初の外科手術で顔貌の見た目を改善することができます。
当院では外科手術が必要な方の場合にはサージェリーファーストをご案内出来ます。
詳しい内容はこちらのページを参考にご覧ください→外科矯正について
噛み合わせや舌癖による開咬
歯列矯正
噛み合わせや歯並びが原因で開咬が生じている場合、全体的な歯列矯正で改善させることが一般的です。
矯正方法としては、ワイヤー矯正やマウスピース矯正などがあります。
ワイヤー矯正には表側矯正と裏側矯正がありますが、特に裏側矯正は、ブラケット装置が舌側に装着されているため、開咬の原因となる舌が前に出る動きを制限することができ、舌癖の改善が期待できます。必要に応じて口腔筋機能療法と組み合わせることもあります。
口腔筋機能療法(MFT)
口周りの筋肉のバランスは、歯並びに深く関係しています。
特に開咬は舌が影響していることが多く、悪習慣になっている舌癖を改善しなければ、矯正後に歯並びの後戻りを起こすリスクが高くなります。
例えば、飲み込むたびに舌が前に出るなど、無意識に歯並びに悪影響を与える舌癖が強い場合、この癖を改善し、舌の正しい位置を覚えることが必要です。
また、頬や唇の筋肉の衰えもトレーニングをすることで鍛えられ、正常な状態に整えることができます。
矯正治療と組み合わせてMFTトレーニングをしていくと歯並びを維持しやすいと言われています。詳しくはこちらの記事も併せてご覧ください→MFTトレーニングとは
最後に
開咬を改善すると、噛み合わせや歯並びだけでなく、お顔の印象も大きく変わることがあります。
開咬は放置しておくと、奥歯や顎に大きな負担がかかり続けるため、将来的に顎関節症を起こすリスクや歯を失うリスクが高くなると言われています。
現代では様々な治療方法が増え、改善の選択肢も増えてきました。しかし成人してから治療することは難しい不正咬合です。
幼少期に指しゃぶりや舌を前に出す癖などを未然に予防することや、このような癖がある場合には、早い段階で改善させることが理想的です。
なかなか癖が治らないとお困りの場合にも、矯正歯科でご相談いただけます。
矯正治療にご興味がある方は無料カウンセリングを行っておりますので、気軽にご来院ください。
ご一読いただき、ありがとうございました。