投稿日:2023.10.27
歯科矯正で使うペンデュラムって何?
皆様は「ペンデュラム」という言葉を聞いたことはありますか?
歯科医院では、ドクターやスタッフが専門用語で会話している場面もあるため、他にもあまり聞いたことのない言葉を耳にすることがあるかもしれません。
矯正治療では、さらに専門的な言葉も加わってきます。
その中で用いられている言葉がペンデュラムで、なるべく歯を抜かずに歯並びを整えたい時に使うものです。
今回は、矯正治療で使われる「ペンデュラム」についてお話していきたいと思います。
目次
ペンデュラムとは?
「歯並びはキレイにしたいけど、なるべく歯は抜きたくない」という方が多いのではないでしょうか。
ペンデュラムとは、6歳臼歯を後ろ側へ移動させたい時に使用する装置のことで、主に「小児矯正」で用いられています。
他の矯正装置と比較してつくりは簡易的で、次のような特徴があります。
・矯正治療を行うための抜歯を避けることができる。
・矯正治療の初期段階で用いる。
・表から装置が見えない。
・装置が大きいため違和感を感じやすく、慣れるまで時間がかかる傾向がある。
顎が小さかったり、顎の幅が狭かったりすると、歯がキレイに並ぶために必要なスペースを確保することができません。
そのままにしていると、歯が収まりきれずに歯並びがガタガタと乱れてきてしまいます。
そこでペンデュラムを用いることにより、永久歯が生えてこられるようにスペースを確保するのです。
それでもスペースが足りない場合は、ブラケット装置などをつけて矯正治療を行うことになるでしょう。
ペンデュラムを使うことで得られるメリット
ペンデュラムを利用することで、以下のような様々なメリットを得ることができます。
①抜歯せずに歯並びを整えられる可能性が高くなる
一番のメリットは、やはり「抜歯をせずに矯正できる可能性がある」ということです。
歯を抜かなくても、歯を並べるためのスペースが作れるということは、大きな利点だといえるでしょう。
②矯正器具が目立ちにくい
歯列矯正を検討中のほとんどの方は「できれば装置を目立たせたくない」「なるべく装置が目立たないように治療をしたい」とお考えではないでしょうか。
ペンデュラムは、上顎の歯の内側につける装置です。ワイヤーも奥歯に装着するため、周りの人からは見えにくいというメリットがあります。
③大臼歯の遠心移動ができる
6歳臼歯を後側に移動させることで、歯が並ぶスペースの確保に繋がるので、他の永久歯が生えてくるために必要な土台作りができます。
本来あるべき位置に歯が生えるように、十分なスペースがあるかどうかはとても大切です。
スペースがあることで、理想とする歯の並び方に近づけることが可能になるからです。
④顎を広げることもできる
アンカースクリューという矯正装置と合わせて用いることで、顎の横幅も広げられる可能性があります。
顎が狭く、永久歯が並びきらないような時にも、有効だといえるでしょう。
ペンデュラムを利用するデメリット
上記のようにメリットが多くあるペンデュラムですが、次のようなデメリットもあります。
・装着時の違和感が大きい
お口の中は敏感です。慣れるまでは、装置があることに大きな違和感を感じてしまうでしょう。
しかし、段々と慣れていきますので心配はいりません。
・慣れるまで話しにくくなることがある
装置を内側につけるため、舌の動きを邪魔して滑舌が悪くなってしまうことがあります。
とはいえ、ずっと続くわけではありません。装置があることに慣れてくると、徐々に話しにくさは軽減されていきますので
ご安心ください。
・歯磨きがしにくい
装置や歯の間に食べ物などが挟まりやすくなります。また、装置がついている部分は歯磨きもしにくくなるでしょう。
磨き残しが生じやすく虫歯のリスクも高くなるため、治療前よりもしっかり歯磨きをするように注意しなければなりません。
・歯根吸収の可能性がある
ペンデュラムや矯正装置などで歯を動かす場合は、力をかけて移動させることになります。
それにより、歯の根の部分が吸収されてしまうということも起こりうるでしょう。
結果として歯根が短くなったり、歯ぐきが下がってしまう可能性があります。
どのような場合にペンデュラムがいいの?
歯並びに問題があり、以下に該当するような場合は、ペンデュラムが向いている可能性があります。
・なるべく歯を抜きたくない場合
・前歯がガタガタして重なっている場合
・6歳臼歯の生える6歳前後のお子様
とはいえ、お口や歯並びの状態は一人ひとり違うものです。歯の重なり具合によっては難しいケースや、抜歯が必要となるケースも考えられるでしょう。
上記に当てはまる方は、一度歯科医院で相談してみてくださいね。
ペンデュラムは子供しか使えない?
最初にお話した通り、ペンデュラムは主に「小児矯正」で使われるものです。
「抜歯せずに矯正ができるかもしれないと期待したのに、大人ではできないの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
結論からお伝えすると、大人の矯正治療でもペンデュラムを利用することは可能です。
しかし顎の成長が終わっているので、お子様と比べて歯は動きにくくなります。
治療期間はどのくらい?
お子様であれば、理想的な位置に永久歯が生えてくれれば1〜2年くらいで治療が終了となることもあるでしょう。
しかし、ペンデュラムだけで歯並びを整えることが難しい場合には、その後に矯正治療を行うことになります。
大人の場合は、お子様よりも歯が動きにくいので、どうしても時間が必要です。そのため、治療期間はさらに長くなると考えていただけたらと思います。
抜歯せずに歯並びを整える方法は他にないの?
ペンデュラム以外にも「アンカースクリュー」という装置を利用することで、抜歯をせずに歯並びを整える方法があります。
アンカースクリューは「矯正用インプラント」といわれることもあるチタン製の小さなネジのようなものです。
歯ぐきの下の骨に埋め込み、歯を動かす時の支点として使います。
アンカースクリューの一番のメリットは「抜歯せずに矯正治療ができる」ということです。
従来では抜歯をせざるを得なかったケースでも、歯を抜かずにスペースを作ることができるかもしれません。
また、効率良く歯を動かすことができるため、治療期間の短縮も期待できるでしょう。
抜歯を避けて歯列矯正をしたい方は気軽にご相談ください
今回は、矯正治療で用いるペンデュラムについて、メリットなどと合わせてお話しました。
歯列矯正に興味があっても「歯を抜かないといけないかもしれない」と思うと、なかなか踏み出せないこともあるのではないでしょうか。
お子様のうちは顎の成長を利用することができますが、骨格が完成した大人ではそうはいきません。
歯を並べるスペースが足りない場合は、治療期間が長くかかったり、外科手術が必要となることもあります。
そんな時でも、ペンデュラムやアンカースクリューを用いれば、抜歯をせずにキレイな歯並びを手に入れることができる可能性があります。
非抜歯での矯正治療をご希望の方は、一度歯科医院で相談してみるといいでしょう。
札幌キュア矯正歯科では、キレイな歯並びを手に入れたい方や歯列矯正にご興味がある方を対象にカウンセリングを実施しております。
「できるだけ歯を抜かずに矯正をしたい」という方は、どうぞ気軽にご相談ください。お問い合わせお待ちしております。