投稿日:2023.3.24
お口ポカン!口が開いてしまうのは矯正治療で治せるの?
「気づくと口が開いている」「口を閉じようとしても気がつくと開いている」そんなお悩みを抱えてはいませんか?
いわゆる「お口ポカン」の状態は、見た目の印象に関わるだけでなく、
口呼吸による乾燥やむし歯・歯周病のリスク、集中力の低下など、健康面にもさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。
このような「口が自然と開く」「意識しないと口が閉まらない」状態の背景には、歯並びやかみ合わせ、舌や口まわりの筋肉の問題、
さらには鼻の通りが悪いなどの呼吸の問題が関係していることも珍しくありません。
本記事では、意識しないと口が閉じない原因と、それを改善するための矯正治療、日常的に取り入れられるトレーニングについて、わかりやすく解説していきます。
目次
意識しないと口が閉じないのはどうして?主な要因を解説

「無意識のうちに口が開いてしまう」「常に唇が閉じられない」そうした状態は、単なる癖ではなく、いくつかの明確な要因が絡み合って起こっています。
まずは、「お口ポカン」の原因となる代表的な要素を解説します。
歯並びやかみ合わせの乱れ
口が閉じられない大きな理由のひとつは、歯並びやかみ合わせの問題です。
特に以下のような歯列状態では、自然に口唇を閉じることが難しくなります。
①出っ歯(上顎前突)

上の前歯が前方に傾いていると、口を閉じようとしても歯が前方へ突出してるため、閉じにくくなります。
②開咬

奥歯だけがかみ合い、前歯の上下に隙間ができている状態。この場合、口を閉じても前歯が触れず、空間ができてしまうため、唇も閉じにくくなります。
③受け口(反対咬合)

下の前歯が上の前歯より前に出ているため、あごの筋肉や口輪筋に無理な負担がかかり、口が開いたままになることがあります。
こうした状態を放置すると、歯だけでなく筋肉の使い方にも影響が出て、次第に「口を開けているのが自然」という感覚が定着してしまいます。
舌の位置の異常(低位舌)
舌の正しい位置をご存じですか?舌の先が上あごのスポットに軽く触れており、舌全体が上あごに張り付いている状態が理想です。
しかし、舌が下のほうに落ちてしまっている「低位舌」の状態だと、口が自然と開きやすくなります。
これは、舌が口の中で支えとなる力を失ってしまうためです。
舌が正しい位置にないと、上あごの発育が不十分になる可能性もあり、歯列や顔貌のバランスに影響を与えることもあります。
口の周囲の筋力不足(口輪筋の弱さ)

口唇のまわりを取り囲んでいる筋肉「口輪筋」は、口を閉じたり食べ物を飲み込んだりするときに重要な役割を果たしています。
しかし、現代の食生活では柔らかいものを口にする機会が多く、現代では、口輪筋やあごの筋肉を積極的に使う機会が減ってきています。
その結果、唇を閉じ続ける力が弱まり、口を開けたままの状態になってしまうことがあるのです。
また、表情をあまり変えない、話す機会が少ないといった生活習慣も、口まわりの筋肉の衰えを加速させる要因となります。
鼻呼吸ができない(鼻づまり・鼻炎)
口が開いたままになってしまう大きな原因のひとつが「呼吸のしにくさ」です。
特に、慢性的な鼻づまりやアレルギー性鼻炎があると、鼻でうまく呼吸ができず、無意識のうちに口で息をするクセがついてしまいます。
この「口呼吸が習慣になると、だんだんと口を閉じる筋肉が使われなくなり、「気づけばいつも口が開いている」状態になりやすくなります。
さらに、口で呼吸をしているとお口の中が乾燥しやすくなり、むし歯や歯周病、口臭などのリスクも高くなります。
もし「矯正をしても口が閉じにくい」と感じているなら、原因は鼻にあるかもしれません。
鼻の通りが悪い方は、耳鼻科での診察や治療を検討するのもひとつの方法です。
口が閉じられないままにしておくリスクとは?
「口が開いているだけで、そこまで深刻な問題になるの?」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、口唇を閉じられない状態が続くと、見た目だけでなく健康や発育、日常生活の質にもさまざまな影響を及ぼします。
ここでは、お口ポカンを放置することで起こりうるリスクを解説します。
むし歯や歯周病のリスクが高まる
口を開けたままにしていると、口腔内が乾燥しやすくなります。
唾液には細菌の繁殖を抑えたり、食べカスを洗い流したりする働きがありますが、
口が乾くことでこの自浄作用が低下し、むし歯や歯周病になりやすい環境がつくられてしまいます。
特に前歯まわりは、空気にさらされやすく、歯肉炎や着色の原因にもなりやすいため注意が必要です。
顔つきが変化する(口元のたるみ・長顔傾向)
口が開いたままの状態が続くと、口周りの筋肉が緩みやすくなり、顔の輪郭や表情にも影響が及ぶようになります。
・口元がだらしなく見える
・顎が長く見える(長顔傾向)
・二重あごや頬のたるみが目立ちやすくなる
といった見た目の変化が起こることもあります。
子どもの場合は特に、発育の途中で口唇閉鎖不全が続くと、顔全体の骨格バランスに影響を与え、
将来的に矯正がより複雑になってしまうケースもあるため、早めの対応が望まれます。
発音や滑舌に影響が出ることも
唇や舌の動きが不安定なままだと、発音の明瞭さにも支障をきたすことがあります。
特に「パ・マ・バ・タ・ナ行」などの音は、唇や舌の協調運動が重要なため、口が開いた状態では正確な音が出にくくなります。
学校生活や仕事の場面で「聞き返されることが多い」「話すのが億劫に感じる」といった悩みにつながることもあるため、放置せず前向きに治療に取り組むことが大切です。
集中力の低下・睡眠の質の悪化
口呼吸が習慣化している人は、睡眠中も口を開けたまま呼吸していることが多く、いびきや浅い眠りの原因になります。
これが続くと、日中の集中力低下、疲れやすさ、イライラといった不調にもつながる可能性があります。
また、子どもの場合は成長ホルモンの分泌にも影響を与えるとされ、学習能力や身体発育に関係する可能性も指摘されています。
歯列矯正で「お口ポカン」は改善できる?
口が閉じられない・開いてしまう状態が続く場合、「歯並びやかみ合わせ」が深く関係していることがあります。
こうしたケースでは、歯列矯正によって根本から改善できる可能性が高まります。
ここでは、矯正治療がどのようにお口ポカンの改善につながるのか、詳しくご紹介します。
歯列不正が「口が閉じにくい」原因に

前歯が出ている「出っ歯(上顎前突)」や、上下の歯がしっかり噛み合わない「開咬(かいこう)」と呼ばれる不正咬合があると、口唇が自然に閉じられない状態になりやすくなります。
また、歯並びが乱れていると、上下の唇をしっかり合わせるために力が必要になり、リラックスした状態で口を閉じていられないという方も少なくありません。
矯正治療によりこうした噛み合わせの問題を整えることで、自然に口を閉じやすい状態をつくることができます。
お口ポカン改善に効果的な矯正方法とは?
お口ポカンの原因となる歯並びには、患者さん一人ひとりで違いがあるため、適した治療法も異なります。
以下は、代表的な矯正方法です。
ワイヤー矯正(表側・裏側)

従来からある「ワイヤー矯正」は、細かな歯の動きの調整に優れており、重度の出っ歯や開咬にも対応できます。
装置は表側につけるもののほか、裏側につける「裏側矯正(舌側矯正)」もあり、見た目が気になる方に選ばれています。
マウスピース型矯正装置(インビザラインなど)

取り外し可能で目立ちにくい「インビザライン」などのマウスピース型矯正装置は、軽度〜中程度の歯列不正に向いています。
比較的快適に治療が進められますが、開咬や骨格に関わる問題がある場合は、マウスピースのみでの改善の見込みは低く、ほかの治療法との併用や検討が必要になることもあります。
「筋機能」や「呼吸」の併用アプローチ
矯正治療では、歯並びやかみ合わせを整えるだけでなく、口を閉じるために必要な周囲の筋肉(口輪筋や舌筋など)を強化するトレーニングも欠かせません。
また、鼻炎やアレルギー性鼻炎などによる鼻呼吸のしづらさが原因で口呼吸になっている場合は、耳鼻科などの診療と並行し、呼吸環境の改善も図ることが必要です。
矯正だけで完結せず、呼吸・筋肉・生活習慣など様々な視点からのアプローチが、より確実な改善につながります。
口が開いてしまう方におすすめのトレーニング方法
お口ポカンの改善には、歯列矯正だけでなく、口周りの筋肉を鍛えるトレーニングも重要です。
とくに唇を閉じる力を担う「口輪筋」や、舌の正しい位置を維持する筋力を高めることで、無意識に口が開いてしまう習慣を改善できます。
おすすめの簡単なトレーニングとしては、まず口を「う」と「い」の形をキープする方法です。
「う」の時は口唇をできだけ前方へ突き出し、「い」の時は、口角を引き上げます。これを10回繰り返すだけでも口輪筋を刺激できます。

次に「ポッピングトレーニング」も有効です。
舌の先を上あごにピタッとつけた状態から「ポン」と音を立てて離す動作を繰り返します。
これにより舌の筋力が高まり、舌の正しい位置「スポット」に自然と収まりやすくなります。
こうしたトレーニングを継続的に取り入れることで、口の筋肉が安定し、無意識の口開きが改善されていきます。
また、鼻呼吸を習慣化することも大切です。
鼻が詰まりやすい方は、耳鼻科でアレルギー性鼻炎や鼻中隔弯曲などの原因を確認することをおすすめします。
口が自然に閉じることができなかったり、無意識のうちに口が開いてしまうのが気になる場合は、一度矯正専門の歯科医院へ相談してみるといいでしょう。
当院ではカウンセリング相談をWEB予約にて24時間受け付けております。
カウンセリング予約はこちら
インスタグラムにて当院で治療されている患者様の症例を紹介しております。ぜひご覧ください☆
インスタグラムはこちら
当院ホームページでも症例を紹介しているのでぜひご覧ください。
症例はこちら
ご一読いただきありがとうございました。




治療ガイド