投稿日:2023.1.17
受け口になりやすい寝方とは?寝相と歯並びの関係を解説
「朝起きると、なんだか顎がだるい」「自分の横顔を見ると、口元が出ているのが気になる」
このようなお悩みや疑問をお持ちではありませんか?
もしかしたら、その原因は「寝相」にあるのかもしれません。
実は、寝ている間の姿勢は、私たちが思う以上に歯並びや顎の成長に大きな影響を与えます。
特に「受け口」や「しゃくれ」といった症状は、寝相によって助長されてしまうケースも少なくないのです。
本記事では、寝相が歯並びに与える影響を解説していきます。さらに、歯並びを整える方法や正しい寝方も解説していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
受け口としゃくれの違い
「受け口」と「しゃくれ」。どちらも顎が前に出ている状態を指す言葉ですが、実は原因や特徴に違いがあることをご存じですか?

受け口は、主に歯の傾きや位置が原因で、下の前歯が上の前歯より前に出ている状態です。
たとえば、下の前歯が大きすぎる、上の前歯が内側に傾いているなどが当てはまります。

一方しゃくれは、主に骨格が原因で、下顎全体が上顎よりも前に出ている状態です。
たとえば、下顎の骨が過剰に成長したり、上顎の骨の成長が不足したりすることで起こります。
横から見たときに顎の先端が通常よりも大幅に前にでていれば骨格に問題がある可能性が高いため、しゃくれに分類される可能性が高いです。
原因が歯にあるのか、それとも骨格にあるのかで、根本的な治療法も変わってきます。
そして、どちらのタイプであっても、これからご説明する特定の寝相は症状を悪化させる一因となり得ます。
寝相が歯並びに与える影響とは?
「寝る姿勢くらいで歯並びが変わるなんて大げさな…」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、一晩に6〜8時間、毎日繰り返される習慣が顎や歯に与える影響は決して小さくありません。
特に注意したいのが「うつぶせ寝」と「横向き寝」です。
うつ伏せ寝が与える悪影響

うつぶせ寝や横向き寝は、気持ちよく眠れると感じる人も多いかもしれません。
しかし、これらの寝方は、受け口やしゃくれ、顎関節症のリスクを高めてしまう可能性があります。
うつぶせで寝ると、顔を左右どちらかに向け、枕に顔をうずめる形になりますよね。
このとき、下顎には常に前方へ押し出されるような持続的な圧力がかかり続けます。
私たちの頭の重さは、体重の約10%(約5〜6kg)と言われています。
毎晩、数時間にわたってこの重さが顎にかかり続ければ、歯が動いたり、顎の成長に影響が出たりする可能性があることは、想像に難くないでしょう。
特に、骨格がまだ柔らかい成長期のお子さまの場合、その影響はより顕著に現れることがあります。
横向き寝による顎関節への負担

横向き寝も、多くの方にとってリラックスできる姿勢かもしれません。
しかし、常に同じ側を下にして寝ていると、片方の顎や歯だけに不均等な圧力がかかり続けてしまいます。
この偏った圧力が、歯列を内側に倒しこんで歯並びを非対称にしたり、顎の関節(顎関節)をずらして顔の歪みに繋がったりすることがあります。
さらに、顎関節への負担は、口を開けると痛い、カクカク音がするといった「顎関節症」の引き金になります。
一度発症すると日常生活にも支障をきたすことがあるため注意が必要です。
起床時の症状チェックリスト
もし以下の項目に心当たりがあれば、あなたの寝相が顎に負担をかけている可能性があります。
- 起床時に顎がだるい、または重い感じがする
- 日中、なんとなく噛み合わせがしっくりこない
- 口を大きく開け閉めすると、痛みや「カクッ」「ジャリッ」といった音がする
- 昔より受け口や顔の歪みが気になってきた
- いつも同じ方向を向いて寝ている自覚がある
これらの症状に一つでも当てはまるなら、一度ご自身の寝姿勢を見直してみてはいかがでしょうか。
また、悩みが深刻になる前に、歯科医師に相談することもおすすめします。
理想的な寝姿勢は仰向け寝
歯並びや顎への負担を考えると、理想的な寝方は仰向け寝です。
ここでは、そのメリットと、正しい姿勢を保つための工夫をご紹介します。
仰向け寝のメリット

仰向けで寝ると、体重が体の背面全体に均等に分散され、うつ伏せ寝や横向き寝のように噛む力が前方に傾くことがありません。
受け口やしゃくれのリスクを大幅に減らすことができます。さらに、仰向け寝には次のようなメリットもあります。
- いびきの軽減
- 睡眠時無呼吸症候群の予防
- 顔のむくみ予防
呼吸の通り道である気道がまっすぐ確保されやすくなるため、スムーズな呼吸を助けます。
また、顔に枕などが直接触れないため、血行やリンパの流れが妨げられにくくなり、顔のむくみ予防につながります。
しかし、ただ単に仰向けで寝れば良いというわけではありません。注意したいのが顔の向きです。
体が上を向いていても、顔だけが横を向いていると首がねじれた状態になってしまいます。
結果、首や肩の筋肉に負担がかかり、寝違えの原因にもなるため注意しましょう。
また、仰向け寝をサポートするために、枕選びが重要なポイントになります。
仰向けに寝たとき、首の骨がゆるやかなS字カーブを保てる高さの枕を選びましょう。
目線が真上より少し足元を向くくらいが目安です。寝具専門店のスタッフなどに相談しながら、ご自身に合うものを探すことをおすすめします。
寝返り防止のための実践方法
「意識して仰向けで寝ても、朝起きると横向きやうつぶせになっている…」という方も多いはず。
そんなときは、物理的に寝返りを制限する工夫を取り入れてみてはいかがでしょうか。
たとえば、体の両脇に抱き枕や丸めたバスタオルを置くことで、体が固定され、横向きになりにくくなります。
いつも同じ方向に寝返りを打ってしまう場合は、そちら側が壁になるようにベッドの配置を変えるのも一つの手です。
一方で、仰向けになると腰に痛みを感じる方もいらっしゃいます。
その場合は、膝の下に丸めたタオルやクッションを置いてみてください。膝を軽く曲げることで腰の反りがゆるやかになり、痛みが和らぐことがあります。
これらの方法は手軽に始められますので、ご自身の体調や寝室の環境に合わせて、無理のない範囲で試してみてはいかがでしょうか。
受け口を治すための矯正治療
寝相の改善は、今後のリスクを減らすための大切な予防策です。
しかし、「すでに受け口で悩んでいる」という場合、残念ながら寝相を直すだけで歯並びや骨格が元に戻ることはありません。
根本的に問題を解決するためには、専門家による矯正治療が必要になります。ここでは、札幌キュア矯正歯科で行っている治療法をご紹介します。
ワイヤー矯正

歯の表面、または目立ちにくい裏側(舌側矯正)にブラケットという装置をつけ、ワイヤーを通して歯を動かす、スタンダードな治療法です。
精密な歯の移動が得意で、幅広い症例に対応できます。見た目はもちろん、噛み合わせの改善にも高い効果を発揮します。固定式で審美性は少し劣りますが、信頼性の高い治療法です。
また、ワイヤー矯正はマウスピース型矯正のリカバリーや仕上げとして使われることもあります。
当院では裏側矯正(舌側矯正)はもちろん、表側矯正やハーフリンガル矯正など様々な種類のワイヤー矯正の取り扱いがございます。
マウスピース型矯正

マウスピース型の装置を定期的に交換していくことで歯並びを整える治療法です。
装置は薄く透明で目立ちにくく、ご自身で取り外しができるため衛生的です。
歯のズレが比較的小さいケースは単独で治療可能ですが、抜歯が必要な症例はワイヤー矯正と併用することもあります。
マウスピース型矯正は適応範囲が限定されているので、ご自身の歯並びが対象になるかは精密検査が必要です。
外科手術(サージェリーファースト)
顎の骨を削り、位置を調整する治療法です。
顎の骨格そのものに原因がある「しゃくれ」の場合、矯正治療だけでは改善が難しく、顎の骨の位置を調整する外科手術を併用することがあります。
たとえば、骨格自体に問題があるケース、出っ歯や受け口、顎の左右非対称などで、見た目にコンプレックスを感じている方や、噛み合わせなどの機能面に問題を抱えている方に適しています。
一般的に、外科矯正は「術前矯正→外科手術→術後矯正」という流れで進み、治療期間が長くなる傾向にあります。
しかし、札幌キュア矯正歯科では「サージェリーファースト」というアプローチも採用しています。
これは、最初に外科手術を行い、見た目の問題を早期に改善してから矯正治療に入る方法です。
メリットは、治療の早い段階で口元の印象が大きく変わること。長年のコンプレックスが早期に解消されるため、治療期間中のモチベーション維持にもつながりやすいです。
サージェリーファーストは自費診療となりますが、「できるだけ早く見た目を変えたい」という患者様の満足度が高い治療法です。
当院のサージェリーファーストの詳しい流れや症例については、以下のページでご紹介しています。ぜひご覧ください。
当院のサージェリーファーストについては詳しく見る
寝姿を意識して受け口やしゃくれを予防しよう
うつぶせ寝や横向き寝は、顎や歯並びに継続的な負担をかけ、受け口のリスクを高めます。
理想的な寝方は、体に均等に負荷がかかる「仰向け寝」です。枕の工夫やクッションの活用で、正しい姿勢をサポートしましょう。
毎日の寝相を意識することは、未来の歯並びを守るための大切な予防策です。
すでに歯並びや骨格に問題が生じている場合、セルフケアでの改善は困難です。
根本的な解決には専門的な矯正治療が必要です。もし今すでにお悩みでしたら、一人で抱え込まずに、ぜひ私たち専門家にご相談ください。
札幌キュア矯正歯科では、カウンセリングを実施しています。
患者さま一人ひとりの症状とご希望に寄り添い、適切な治療計画をご提案します。どうぞお気軽にご予約ください。
ご一読いただきありがとうございます。




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