投稿日:2025.2.18
リップバンパーとは?奥歯の移動を防ぐ矯正装置について
こんにちは。札幌キュア矯正歯科です。
矯正治療では、矯正装置を使って歯を動かします。
矯正装置というと、歯の表面に取り付ける四角い形状の装置とワイヤーを思い浮かべる方が多くいらっしゃるでしょう。
矯正装置には、それ以外にもさまざまな種類があります。
ここでは、奥歯の移動を防ぐ際などに使用する矯正装置「リップバンパー」についてお話しします。
目次
取り外し式の矯正装置「リップバンパー」で歯列を改善へ
リップバンパーはおもに下顎に使用する装置です。
子どもの矯正治療で使用されるケースが多いのですが、大人でも使用できる場合もあります。
歯並びを決定する要素は、骨格や歯の大きさなどさまざまです。
骨格的な要素は遺伝することもありますが、それ以外に毎日の生活習慣や唇や舌の使い方やクセも、歯並びに影響を与えます。
そのようなクセを改善する方法の一つとして、取り外し式の矯正装置を使用することがあります。
リップバンパーもそのひとつです。
リップバンパーを装着することで、次のような効果が期待できます。
唇からの圧力を抑える
下唇を噛んだり、上下の歯の間にはさんだりするクセを続けていると、唇からの圧力で上の歯は前に、下の歯は後ろに傾き、出っ歯になる恐れがあります。
リップバンパーは、リップ(唇)と下の歯の間にある装置で、車と人やモノとが衝突したときに衝撃を緩和するバンパーのように、唇からの力を抑えます。
リップバンパーを装着することで、物理的に、唇を噛むことができなくなり、上下の歯の間から舌が入り込まなくなるのです。
下唇からの力は、歯ではなくリップバンパーに加わるため、前歯の傾きを防ぐことができ、すでに傾いている歯もリップバンパーを装着することで少しずつ改善されていきます。
奥歯の移動を防ぐ
歯が抜けると、できたスペースに周りの歯が倒れこんでしまいます。
奥歯の前の歯が抜けると、奥の歯が少しずつ前に移動し、歯並びやかみ合わせに悪い影響をおよぼすこととなります。
奥歯が前に動くのを防ぎたい場合に、リップバンパーを取り付けると、唇からの力が奥歯を奥に移動させる方向に力が働き、奥歯の移動を防ぐことができるのです。
また、前歯を後ろに下げるために抜歯などでスペースを作った場合も、
奥歯が前に動いてスペースが失われると、効率的に治療を進められない場合があります。
その場合も、リップバンパーを使用することで、奥歯の移動を防いでスペースを確保します。
また、なんらかの理由で乳歯を抜歯する場合や乳歯が早く抜けてしまった場合など、永久歯が生えてくるまでスペースを確保しておかなくてはいけません。
歯を抜いた部分へ奥歯が動いてこないように、奥歯にリップバンパーで力をかける場合もあります。
奥歯を効果的に動かす
リップバンパーは奥歯の移動を防ぐことができる一方で、唇からの力を奥歯に伝える働きもあります。
歯並びが多くなる原因の多くは、スペース不足です。
顎の幅や長さが十分でなく、すべての歯がキレイに並ぶだけのスペースがないと、歯列が凸凹になります。
歯をキレイに並べるためには、スペースを確保する必要があります。
抜歯を行うことでスペースを作るケースもありますが、奥歯を奥に動かすことができれば抜歯をすることなく、前方にスペースを確保することができるのです。
このように奥歯を動かすことを「大臼歯の遠心移動」といい、一般的な矯正治療では奥歯を後ろに効率的に下げるのはとても難しいとされていますが、
リップバンパーを装着することで、効果的に奥歯を動かすことができる場合があります。
リップバンパーを効果的に使用するために大切なこと
リップバンパーは取り外しできるため、食事や歯磨きは治療を始める前と同じように行っていただけます。
ワイヤーを使った矯正治療よりも痛みも少なく、少ない負担で治療を進めることができます。
ただし、ご自身での管理が非常に重要です。
リップバンパーの取り扱い方
まずは、大臼歯にチューブを溶接したバンドを固定します。
そのチューブにリップバンパーの先を差し込みます。
1日18時間以上、装着することが望ましいとされているので、食事や歯磨きのとき以外はしっかりと装着することが大切です。
リップバンパーには、下唇に当たる部分にクッションのような役割を担っている「パッド」がついています。
歯と歯ぐきの境目や歯ぐきにかかるように取り付けるので、お口を開けたときに目立ってしまう恐れがありますが、矯正治療をスムーズに進めるためには必要な治療です。
リップバンパーを使用する際の注意点
リップバンパーにはパッドがついていますが、パッドが歯ぐきに接触すると、歯ぐきに傷がつく恐れがあります。
パッドが歯や歯ぐきに当たらないように調整しますので、接触している場合は歯科医院にご相談ください。
ワイヤーを使った矯正治療とは異なり、器械的な力で歯に力を加えて歯を動かしたり歯列を調整したりするわけではありませんので、
歯並びが改善されるまでに、長く時間がかかる場合があります。
また、装着時間が短い場合は、思うような効果が得られない場合がありますので、使用方法をしっかりと守っていただくことが大切です。
リップバンパーの使用で改善される不正咬合の種類
リップバンパーはおもに下顎に使用されます。
下の前歯が内側に傾いた結果、上の歯が前に出ている「上顎前突(出っ歯)」の歯並びの矯正治療で使用されることがあります。
また、下の前歯が前に出ている「下顎前突(受け口)」の場合にも、効果的です。
上顎前突
上顎前突(じょうがくぜんとつ)は、下顎の歯列が後ろにずれている歯並びで、出っ歯ともよばれます。
上顎前突の状態では、かみ合わせがずれているため、噛む能力が低く、顎関節症を引き起こす恐れもあります。
また、笑ったときに歯ぐきが見えやすいため、見た目を気にされる方も少なくありません。
一般的な矯正治療では、抜歯を行い歯列にスペースを作って前歯を後方に下げて歯列を整えます。
唇や頬からの過剰な力によって歯列が狭まって上顎前突となっている場合は、
リップバンパーを使用して、唇からの圧力を抑えて、歯列の内側にある舌からの力を利用して歯列を拡げます。
下顎前突
下顎前突(げがくぜんとつ)は、下の歯が上の歯よりも前に出ていて、かみ合わせが上下で逆になっている不正咬合で
「反対咬合(はんたいこうごう)」「受け口」ともよばれます。
下顎前突には、2つのタイプに分けられていて、骨格的な問題で上下の顎のバランスが悪い「骨格性」のものと、
上の前歯が後ろに傾いていたり、下の前歯が前に突き出していたりする「歯性」のものがあります。
下顎前突をそのままにしていると、外見的な問題以外にも、発音や咀嚼(そしゃく)に問題が生じる可能性も高く、顎関節症にも注意が必要です。
お子さんの場合、成長期に上下の顎のバランスが崩れる可能性もあります。
「歯性」タイプの場合、リップバンパーで改善できる場合がありますので、まずはお気軽にご相談ください。
歯並びのお悩みは札幌キュア矯正歯科にご相談ください
矯正治療で使用する矯正装置にはさまざまな種類があります。
当院では、歯科用CTを活用した精密な診断を行っており、患者さんの歯並びの状態はもちろんのこと、
年齢、生活スタイル、治療のご要望によっても適した装置をご提案します。
大通り駅から徒歩1分と、お仕事の帰りやお買い物の途中に立ち寄っていただきやすいクリニックですので、まずはお気軽にご相談にお越しください。
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