投稿日:2023.4.12
仕上がりを大きく左右するゴムかけ!サボってはいけない理由とは
札幌キュア矯正歯科です。当院のブログを見つけてくださりありがとうございます。
歯列矯正をする期間は平均して2年前後と、結構長いものです。
食事や歯磨きに支障があったり、自己管理が重要だったりして決して楽とはいえません。
ある程度歯が並んでくると「これだけ整っていれば満足なんだけど…」「見た目もきれいになってきたし、もういいかな」と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、そこからがまた重要だということをご存じでしょうか。
矯正治療の目的は「歯並びだけではなく噛み合わせも改善し、審美的・機能的に回復すること」です。そのために矯正治療中に「ゴム」をかけるように指示されることがあります。
今回は、矯正治療を成功させるために欠かせない「ゴムかけ」の重要性や注意点などについてお話していきたいと思います。
現在歯列矯正中の方はもちろん、これから始めたいとお考えの方にも知っておいていただきたい内容です。ぜひご一読ください!
目次
ゴムかけとは何のこと?
ゴムかけとは、名前の通り矯正用のゴムをかけることです。矯正装置が装着された状態で、さらにゴムをかけて力を加えていく方法です。
上と下の歯にまたがるようにして装置にかけるので「顎間ゴム(がっかんごむ)」とも呼ばれています。
通常は食事や歯磨きの時には外し、それ以外の時間は装着する必要があるため、患者様ご自身で着脱を行っていただくことになります。
どのタイミングでゴムかけをするの?
一般的には歯並びがガタガタしている部分などが改善され、大まかに歯並びが整ってきた段階でスタートします。
治療の流れとしては、最初は歯並びの乱れの改善を図り、その後に噛み合わせを作ったり微調整することに焦点を当てていきます。
種類や大きさは様々で、どれを使うのかやどのようにかけるかによって力の加わり方も変わるものです。
そのため、治療段階に合わせて種類やかけ方などを変えていくことになるでしょう。
なぜゴムかけが必要なの?その理由とは
ワイヤー矯正やマウスピース矯正で用いる装置だけでは、残念ながら細かい噛み合わせまで調整することはできません。
一見整った歯並びに見えても、上下の歯を噛み合わせるとしっかり噛めていなかったり、隙間があいたりズレたりしていることも多いのです。
見た目が整っても、上手く噛めなかったり食事がしにくかったりするのでは困ってしまいますよね。
本来の歯の機能である「噛む」という役目を果たすためには、噛み合わせも整える必要があります。これらを調整してくれるのがゴムなのです。
装着することによって、以下のように歯を動かすことができます。
・上下の歯の間の隙間を埋める
・歯を後ろへ引っ込める
・歯を前に引っ張る
歯の位置や噛み合わせを微調整してくれるので「出っ歯」や「受け口」、上下の歯の間に隙間があいてしまう「開咬(かいこう)」などといった、噛み合わせが乱れた状態を整えることが可能です。
どのくらいの時間ゴムを使うの?
装着する時間は、マウスピース型装置と同じように基本的には1日に20時間以上とされています。
つまり食事や歯磨きをする時以外は、基本的につけている状態です。
ただし、歯並びや噛み合わせの状態により一人ひとり装着時間は異なる可能性があります。
詳しくは治療を受けている歯科医師に確認し、指示通りに装着するようにしてくださいね。
ゴムを使う時の注意点
ゴムはただかけていれば良いわけではなく、正しく使うことがとても大切です。
具体的には、次のような点に注意して使っていきましょう。
①ゴムは1回1回交換する
食事の時など1度外したら、次につける際は新しいものに替えてください。1度使ったものは引っ張られていたため多少劣化しているからです。
まだきれいだからなどと劣化したまま使ってしまうと、十分な効果が得られない可能性があります。
使用するゴムは「1回ごとの使い捨て」だと思っていただくと良いかもしれません。
②左右同時に交換する
ゴムを交換する時には、必ず左右とも同じタイミングで交換しましょう。
同じようにかけないと、劣化具合の違いにより歯に加わる力の大きさに差が生じてしまうからです。
それが積み重なると、少しずつ予定している計画からズレていってしまう危険性があるので十分に注意しましょう。
③指示通りに装着する
会話をした時やお口を開けた時などにゴムが見えてしまうことがあります。
歯列矯正をしたことのない多くの方は、恐らくゴムかけについて知らないと思います。そのため周囲の視線が気になってしまうこともあるでしょう。
しかし装着時間が短くなってしまうと、思うように歯が動かなくなり治療期間が延びてしまうこともあります。
時には難しいこともあるかもしれませんが、できるだけ歯科医師に指示された通りにつけられるよう意識しましょう。
ゴムかけにはこんな種類がある
ゴムのかけ方は一通りではなく、色々な方法があります。何通りもあるかけ方の中から、患者様一人ひとりのお口の状態に合わせて選択していくのです。
ここでは良く使われている方法をいくつかご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。歯がどのように動いて整っていくのかイメージしやすくなると思います。
出っ歯の改善・・・Ⅱ級ゴム
「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」いわゆる出っ歯を改善する場合には、Ⅱ級ゴム(にきゅうごむ)と呼ばれるかけ方をします。
かける場所は、上の真ん中から3番目の歯と下の後ろから2番目の奥歯付近です。
これにより上の歯を後ろに、そして下の歯を前へ移動させるように引っ張り、噛み合わせを整えることができます。
受け口、しゃくれの改善・・・Ⅲ級ゴム
「下顎前突(かがくぜんとつ)」や「反対咬合(はんたいこうごう)」といわれる、受け口・しゃくれを改善する際のかけ方です。
Ⅲ級ゴム(さんきゅうごむ)は先ほどとは反対で、上の歯を前に、そして下の歯を後ろへ動かすようにして整えていきます。
かける位置は、下の歯の犬歯と上の奥歯の後ろから2番目の歯です。
開咬の改善・・・垂直ゴム
歯を噛み合わせた時に上下の前歯の間に隙間が開いてしまい、噛み合わない状態を「開咬(かいこう)」といいます。
上下の歯が噛み合うように引っ張り合う力を利用し、垂直にゴムをかけて前歯が噛み合うようにしていきます。
交叉咬合の改善・・・クロスゴム
「交叉咬合(こうさこうごう)」と呼ばれ、上と下の噛み合わせが左右にズレている場合のかけ方です。
クロス(交差)するようにゴムをかけるため「クロスゴム」と呼ばれています。
また歯が傾いている部分にも有効で、傾きの方向とは反対側に向かって力をかけることで改善を図ることができます。
矯正治療の頑張りどころはゴムかけにあり!
今回は、歯列矯正の中頃から始めることの多い「ゴムかけ」の大切さや注意する点などについてお話しました。
どの矯正方法を選択するかに関わらず、仕上がりの質を高めるためにゴムは欠かせないものです。
ただしゴムかけをコツコツと地道に続けていても、歯並びが整っていくように目に見える変化はあまり感じられません。
そのため、1日の中で何度も自分で付けたり外したりする作業を面倒に感じサボりたくなってしまうこともきっとあると思います。
しかし、歯並びが整ってきたここからが頑張りどころだということを忘れないでください!「たかがゴム、されどゴム」です。
毎日指示通りに着脱する努力を重ねていくことで、治療の仕上がりが大きく変わります。
ぜひ最後まで継続して、より素敵な口元を手に入れてくださいね。
もし「私の歯並びでも必要なの?」「続けられるか自信がない」「難しそうだし自分でかけ続けられるのか心配」といったご質問やご不安があるようでしたら、遠慮なくご相談いただければと思います。
ご一読いただき、ありがとうございました。