投稿日:2023.8.28
アデノイド顔貌って何のこと?治療はできるの?
札幌キュア矯正歯科です。
当院のブログを見つけてくださりありがとうございます。
『アデノイド顔貌(がんぼう)』というとご存じの方はあまりいないと思いますが、
『アデノイド』という言葉は聞いたことがある方はいらっしゃるのではないでしょうか。
これらは歯並びが悪くなるなど口元にも悪影響を及ぼすため、注意しておきたい症状です。
特に成長期に見られる場合は早めの対応をおすすめいたします。
今回は、アデノイド顔貌の原因やデメリット・治療方法などについてお話していきたいと思います。
目次
アデノイドとは
アデノイドはリンパ組織のかたまりで、鼻と喉の間にある『咽頭扁桃(いんとうへんとう)』のことです。
咽頭扁桃は2~6歳頃にかけて大きくなり、10歳頃までに自然と小さくなっていきます。
このようなお子様に見られる症状を『アデノイド肥大(ひだい)』と呼び、中耳炎や鼻閉などを引き起こすこともあるようです。
原因は細菌やウイルスへの感染によって起こるともいわれていますが、はっきりわかってはいません。
成長するにつれて自然に小さくなることが多いため基本的には治療は行いませんが、
生活に支障が出るようであれば処置が必要になることもあります。
これらは、耳鼻科で診断や治療を受けることができます。
アデノイド顔貌とは
何らかの原因により咽頭扁桃が肥大すると、お顔にも特徴的な変化が現れます。
それを『アデノイド顔貌』と呼んでいます。
具体的にお顔に見られる特徴は、以下のようなものです。
・口元が前に出ている
・鼻が低い
・頬の下が膨らんでいる
・面長で鼻の下が長い
・二重顎
・首と顎の境目がはっきりしていない
・顔全体が丸みを帯びている
お顔以外に現れる症状は、次の通りです。
・食べるのが遅い
・いびき
・睡眠障害
・呼吸障害
・寝起きが悪い
・日中眠そうにしている
なぜアデノイド顔貌になってしまうの?
原因としては、以下の2つが考えられます。
①咽頭扁桃(アデノイド)の肥大
②口呼吸
直接的な原因は咽頭扁桃の肥大だといえますが、アデノイドは鼻腔と繋がっているため鼻呼吸がしにくくなり、口呼吸が習慣化してしまうこともあります。
口で呼吸することはお顔周りに次のような様々な悪影響をもたらすため、気がついたら早めに改善することが望ましいでしょう。
口呼吸のデメリット
・顎の成長を妨げる
・顔の輪郭に影響する
・歯並びや噛み合わせが悪くなる
何もしていない時には、お口は閉じていることが正常です。
しかし『お口ポカン』という言葉があるように、現代では普段から口で呼吸することが当たり前になってしまっているお子様が増えています。
お口をしっかりと閉じることは意外と重要で、いつもお口を開いているとお口周りの筋肉が十分に発達することができません。
結果として、ガタガタした歯並びや出っ歯、受け口などの原因にもなってしまうため注意が必要です。
アデノイド顔貌は放って置いても問題ない?
「もしかしたらアデノイド顔貌かもしれない」と思っても、特に気になっていなければそのままにしておいても良いのでしょうか。
独特な顔貌のため見た目を気にされる方は多くいらっしゃいますが、見た目以外にも以下のような問題を引き起こす可能性があります。
見た目や口元だけではなく、全身にまで影響することを念頭に置いていただきたいと思います。
①歯列不正(しれつふせい)
顎が十分に成長できず、歯の並んでいる列がV字型になっているケースが多く見られます。
永久歯が並ぶための十分なスペースを得ることができないため、歯並びや噛み合わせが悪くなってしまう可能性が高いでしょう。
②口臭が発生しやすくなる
口呼吸になると、お口の中が乾燥しやすくなります。
通常は、唾液の自浄作用によりお口の中に菌が繁殖しにくくなっていますが、乾燥した状態だと菌が増えてしまいます。
その結果、口臭が発生してしまう可能性があるでしょう。
③いびきをかきやすくなる
咽頭扁桃の肥大の影響により気道が狭くなってしまうため、いびきや睡眠時無呼吸症候群のリスクも高まります。
アデノイド顔貌は治せるの?
基本的に自力で治すことは難しく、治療方法としては次の3つがあげられます
①歯列矯正
全体的に歯並びや噛み合わせを整えることで、歯並びだけではなくお顔の印象も変わります。
上記にあげたような顔貌の特徴も同時に改善できる可能性があります。
現在一般的に行われている歯列矯正は、次の3種類です。
・ワイヤー矯正(表側矯正)
ブラケット装置という装置を歯の表面につけ、そこにワイヤーを通して歯を動かす力をかける方法です。
装置は固定式で、歯科医院で調整や交換を行います。
・裏側矯正(舌側矯正)
表側矯正と同じような装置を、歯の裏側につけて行う方法です。
ワイヤー矯正と同じくらいの頻度で歯科医院に通うことになります。
・マウスピース型矯正
取り外し式のマウスピース型装置を用いて行う治療方法です。透明の装置のため、目立ちにくく見た目が気になる方に向いています。
自分で着脱できるため、食事や歯磨きは今まで通りにできますが、決められた時間きちんと装着しなければ歯が動きません。
自己管理できるかどうかが大切です。
②外科矯正
外科矯正とは、外科手術と矯正治療の両方を行う治療方法です。
骨格的な問題などがあり、歯列矯正だけでは改善が難しいと思われるケースで行います。
外科手術によって顎の骨を動かしたり切除したりして骨格を整え、矯正治療によって歯並びや噛み合わせをキレイにしていきます。
外科矯正をする際には全身麻酔や入院などが必要になるため、事前にしっかりと相談をした上で治療を進めることが大切です。
③アデノイド摘出手術
自然に小さくなる時期を超えても咽頭扁桃が変わらず支障を来している場合は、手術をして切除を行うことになります。
残念ながら、薬などで小さくすることはできないからです。
一般的に入院期間は1週間程度必要になりますが、出血以外のリスクはほとんどないとされています。
④口腔筋機能療法(こうくうきんきのうりょうほう:MFT)
幼少期であれば、小児矯正やMFTなどによりお顔の変化を防げる可能性があるでしょう。
口で呼吸をすることが癖になってしまっている場合は『口腔筋機能療法』を行い、鼻呼吸ができるようにするためのお口周りや舌の筋肉のトレーニングが効果的です。
このようなトレーニングは歯科医院で行っており『MFT(えむえふてぃー)』とも呼ばれています。
コツコツと毎日続けていくことで少しずつ効果が得られるものなので、ご本人と保護者の方の協力が欠かせません。
また、もし鼻づまりの原因となる疾患などがあれば、これらのトレーニングを行う前に鼻づまりを改善するための治療が先になります。
心当たりがある場合は、耳鼻科でも相談されてみるとよいかもしれません。
このように、治療方法は色々あります。
子供の場合は、トレーニングなどによる予防や改善が見込める可能性もありますが、大人は矯正治療や外科矯正による治療となるでしょう。
アデノイド顔貌が気になる方は当院までご相談ください
今回は、アデノイド顔貌の原因やデメリット・治療方法などについてお話しました。
歯並びや噛み合わせが悪くなってしまう原因の1つには、咽頭扁桃の肥大もあげられます。
歯科医院では咽頭扁桃の肥大を治療することはできませんが、歯列矯正により顔貌や歯並びを改善することは可能です。
もし今回ご紹介した顔貌の特徴に「当てはまるのかもしれない」という方がいらしたら、ぜひ一度当院までご相談いただけたらと思います。
患者様のお悩みやご要望をじっくりお伺いし、一人ひとりに合った治療方法などをご提案いたします。
カウンセリングをご希望の方は、どうぞ気軽にお問い合わせくださいね。
ご一読いただき、ありがとうございました。