投稿日:2025.10.27
「顎間ゴムでも会話は大丈夫?初期の違和感と発音のコツ」
「顎間ゴムをつけてもしゃべれますか?」これは、矯正治療中の患者様からよくいただくご質問のひとつです。
当院では「話す分には問題ありません」とお伝えしていますが、実際には個人差があり、
装着初期には口の動きや発音に一時的な違和感を感じる方も少なくありません。
ただ、多くの患者様は、数日〜1〜2週間ほどで慣れ普段どおりの会話ができるようになります。
とはいえ、人前で話す機会が多い方や、電話応対・プレゼンなどを控えている方にとっては、
顎間ゴム装着後のしゃべりにくさは気になるポイントですよね。
そこで本記事では、顎間ゴムが会話に与える影響、慣れるまでの目安、発音をスムーズにするコツをわかりやすく解説します。
目次
多くは顎間ゴムを付けても会話は可能

顎間ゴムの装着を始めた直後は、口の動きや発音に一時的な違和感を覚えることがあります。
しかし、多くの方は1〜2週間ほどで慣れ、日常会話に支障がなくなる傾向があります。
治療計画どおりに咬み合わせを整えるためには、指示された装着時間をしっかり確保することが最も重要です。
ただし、ゴムのかけ方や使用する強さによっては、口の開け閉めに制限を感じ、会話がしにくくなる場合もあります。
特に、会話量の多いお仕事をされている方や、面接・発表などを控えている方は、
装着初期に違和感が出やすい期間の対策を知っておくと安心です。
※強い痛みや不快感が続き、日常生活に支障がある場合は、無理をせず早めに医院へご相談ください。

| ポイント1 | 数日は違和感が出やすいですが、多くは1〜2週間ほどで自然に慣れていきます。 |
| ポイント2 | しゃべりづらさは一時的です。サ行・タ行・S音などが一時的に言いづらくなることがありますが、 ゆっくり話す・音読練習をすることで次第に改善が期待できます。 |
| ポイント3 | 治療効果を最大限に引き出すには、指示された装着時間を守ることが最も大切です。会話などで外す場合も、できるだけ短時間で再装着するよう心がけましょう。 |
顎間ゴムとは?会話に影響する仕組み
顎間ゴム(エラスティック、ゴムかけ)は、上下の歯列に装着された矯正装置
(ブラケットのフックやマウスピース型矯正の切れ込みなど)に、
小さなゴムをかけて咬み合わせや歯の位置のズレを調整する補助装置です。
主に次のような目的で使用されます。
- 咬み合わせの改善(クラスII・IIIのズレ修正)
- 特定の歯を引っ張り出す・移動させる
- アンカースクリュー併用時の固定源強化
顎間ゴムは、患者様ご自身で着脱を行う必要があるため、装着時間を守ることが治療の結果や期間を大きく左右しますが、
慣れていない期間は会話時に以下のような影響が出やすくなります。
舌・唇・頬の動きの制限:上下の装置にかかったゴムによって口の動きがわずかに制限され、
「サ行」「S音」など舌先を使う音が不明瞭になりやすくなります。
口元の緊張感:ゴムの張力(牽引力)により、口周り全体に普段とは異なる緊張が生じます。
慣れない間は口角の動きがぎこちなくなったり、声がこもったように聞こえることもあります。
唾液量・乾燥の変化:装置装着により口腔内環境が変化し、一時的に口呼吸が増えたり唾液量が変わることがあります。
その結果、口の乾燥を感じやすくなり、滑舌が悪くなるケースも。
これらの影響は、ゴムかけの場所やゴムの強さによっても異なりますが、時間の経過とともに軽減し次第にしゃべれるようになることがほとんどです。
しゃべりづらさの原因と慣れるまでのタイムライン

顎間ゴムを初めて使用する際に感じる「しゃべりづらさ」は、舌や唇の可動域の変化が主な原因です。
ただし、これは一時的なもの。多くの方で練習と時間の経過により自然な発話に戻ります。
| 期間 | 状態と違和感 |
| 装着直後〜Day 3 | 最も違和感が強い時期。口が開けにくく、発音がぎこちない。唾液が出やすくなることも。 |
| Day 4〜7 | 口腔内が少しずつ順応し始める時期。ゆっくり話すと安定感が増す。違和感は残るものの、痛みは和らぎ始めます。 |
| 2週目以降 | 多くの場合、通常の会話が可能に。違和感は大幅に軽減し、自然に話せるようになります。 |
上記の期間はあくまで目安であり、使用するゴムの種類、力の強さ、そして個人の順応性によって大きく異なります。
もし、数週間が経過しても強い痛みが続く、口内炎が頻繁にできる、または強い不快感で装着時間を守るのが困難な場合は、
自己判断せず必ず担当の歯科医院にご連絡ください。
シーン別対処法:仕事・学校・電話・プレゼンでのコツ

顎間ゴムを装着していても、仕事や学校で会話を避けることはできません。
そこで、さまざまなシーンで快適に話すための具体的なポイントをご紹介します。
共通のポイント
- ゆっくり、口唇をしっかり動かして話す(早口は滑舌が崩れやすい)
- こまめな水分補給と唇の保湿で乾燥を防ぐ 「サ行」「S音」を含む文章を声に出して練習する
電話・商談
- 会社名や住所など重要な単語は事前に声に出して練習しておく
- 架電前に深呼吸して落ち着くことで発音が安定します
プレゼン・面接
- 前日から軽く声出し練習を行い、当日の違和感を軽減 言いづらい単語は言い換えを考えておく
- 予備のゴムと小型鏡を携帯し、万一のトラブルにもすぐ対応できるように
学校
- 事前に先生や関係者へ装置使用を伝えておく。→ 周囲の理解を得ることで、会話時も安心して話せるようになります。
- 体育や部活動では、顎への衝撃や誤飲リスクを避けるため、必ず医院の指示を確認しましょう。
外してよい場面と注意点

顎間ゴムは「どれだけ長く装着を続けられるか」が治療を成功へ導く最大のポイントです。
基本的には、次のような場面でのみ外すようにしましょう。
- 食事のとき:食べ物がゴムに絡まったり、切れたりするのを防ぐため
- 歯みがきのとき:しっかりと清掃できるようにするため
それ以外の時間は、できるだけ装着を続けることが大切です。
長時間外してしまうと、歯が元の位置に戻ろうとする“後戻り”の力が働き、治療の進みが遅れてしまう可能性があります。
※担当医よりゴムを休止、または夜間のみ装着と指示されている場合は、指示内容を守るようにしてください。
また、重要な会議や面接など、やむを得ず外す必要がある場合は、必ず事前に担当医へ相談するようにしましょう。
よくある不安とセルフケアの注意点

見た目が気になるとき
顎間ゴムは多くの場合透明タイプが使用されるため、正面からはほとんど目立ちません。
気になる方は、鏡の前で笑顔の角度を確認し、自然に見える表情を練習しておくと安心です。
口の乾燥や口臭が気になるとき
こまめな水分補給で口の中の乾燥を防ぎ、糖分の多い間食を控えましょう。
また、舌清掃を習慣にして、口臭の原因となる汚れを減らします。
ゴムが切れた・外れたとき
慌てずにまず口の中から切れたゴムを安全に取り除きましょう。その後、予備のゴムに交換してください。
外れた場合には、装着位置をスマートフォンで写真に記録しておくと正しくつけ直すときに役立ちます。
痛みや口内炎ができたとき
矯正用ワックスで粘膜を保護したり、保湿ジェルで乾燥を予防したりして、応急処置を行います。
その後も強い痛みや不快な症状が続く、顎の痛みがある場合は、早めに受診してください。
子どもの矯正・アライナー併用などケース別の注意

小児・学生の場合
体育や部活動中に強い衝撃を受けると、ゴムが外れたり誤って飲み込んだりするおそれがありますので、
予め担当医へ活動内容を伝えておきましょう。(ケースによっては。一時的に外すよう指示が出る場合もあります。)
また、事前に教師やコーチへ装置の使用を伝えておくと安心です。
アライナー(マウスピース型矯正)併用の場合
マウスピースに切れ込みタイプのフックがある場合は、先にゴムを一方のフックにかけた状態でマウスピースを装着し、
装着後にもう片方へゴムをかけるとスムーズです。
また、紛失防止のため、外食などで一時的に外す場合はマウスピースとゴムを専用ケースで一緒に保管する習慣をつけましょう。
顎関節に違和感があるとき
無理に口を大きく開け続けず、早めに医院へ相談してください。装着方法やゴムの強さの調整が必要な場合もあります。
当院のサポート体制

顎間ゴムを併用した治療は、患者様ご自身の協力度が結果に大きく影響します。
そこで札幌キュア矯正⻭科では、以下のようなサポート体制を整えています。
スターターキットの提供…予備ゴム・小型鏡・ピンセット・矯正用ワックス・保湿剤など、日常のケアに役立つアイテムをお渡ししています。
装着チェックのフォロー…写真による装着位置の確認サポートを行い、正しい使用をサポートします。
LINE/電話相談窓口…痛み・外れ・会話時の不安など、いつでも気軽にご相談いただける体制を整えています。
まとめ:「焦らず慣らす」ことで会話も自然に
顎間ゴムの装着は、毎日の積み重ねが結果を左右するといっても過言ではありません。
装着時間を守ること、正しい位置にかけることが何より大切です。
最初の違和感や話しづらさは一時的なもので、多くの方がすぐに慣れていきます。
焦らず、自分のペースで少しずつ続けましょう。もしも痛み・外れ・発音のしにくさなどで困ったときは、
自己判断せずに早めに医院へご相談ください。状況に適した対処を行い、快適に治療を進められるようサポートいたします。




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