投稿日:2025.10.20
親知らずは矯正に関係なく抜くべき?年齢別の判断基準と目安
「親知らずは矯正をしない人でも抜いたほうがいいの?」気になる疑問ですが、答えは生え方と年齢によって変わります。
親知らずには、将来痛みや腫れを繰り返しやすい生え方があり、放置すると隣の歯まで悪影響を及ぼすことがあります。
また30歳を過ぎると骨が硬くなり歯が癒着しやすく、抜歯が難しくなるうえに腫れや治りの遅さにつながることもあるのです。
ただし、すべての親知らずを抜く必要はなく、真っ直ぐ生えて清掃できている場合は残しておけるケースもあります。
この記事では抜いた方がよい・抜かなくてもよいケースや、腫れ・痛みを抑える工夫まで、歯科の視点から分かりやすく解説します。安心して判断できるよう、参考にしてみてください。
目次
・結論:矯正の有無より「生え方」と「年齢」で判断します
親知らずを抜くかどうかは、矯正治療の有無よりも「生え方」と「年齢」が大きな判断基準となります。
特に横向きや半埋伏など将来的に炎症や痛みを起こすリスクが高い場合は、症状が出る前に相談しておくのがおすすめです。
また30歳を超えると骨が硬くなり、歯と骨が癒着しやすくなります。
そのため、抜歯の難易度や腫れの強さ、治癒にかかる期間が増える傾向にあります。
ただし個人差も大きいため、レントゲンやCTによる客観的な評価を受けることが最も重要です。

・抜いた方がよい“サイン”と代表的な生え方
親知らずが半埋伏・横向き・斜めに生えている場合、歯ぐきの一部に汚れがたまりやすいすき間ができます。
そこに食べかすや汚れが溜まることで、炎症(智歯周囲炎)を繰り返しやすくなります。
また手前の第二大臼歯に強く当たる位置にあると、その歯が虫歯や歯周病にかかるリスクが一気に高まるため、注意が必要です。
さらに親知らず自体が虫歯になったり、痛みや口臭を繰り返すケースも多く、慢性化しやすくなります。
レントゲンで確認される嚢胞(のうほう)や強い圧迫感も、早めの対応が推奨される代表的なサインです。
「症状が出てから抜く」より「症状が出る前に対応する」方が、腫れや痛み、休業日数を抑えやすくなります。

・抜かなくてよい/経過観察で良いケース
親知らずを抜く必要がない、経過観察になるケースは、以下の通りです。
- 完全に真っ直ぐ生えていて磨きやすく、周囲に炎症もない
- 親知らずが顎の骨や神経に極めて近く、「抜歯によるリスクが利益を上回る」と判断された場合
- 高齢になっても症状がなく、生活に支障を感じない
ただし「抜かない選択」をする場合は、定期検診でのチェックと、セルフケアの強化が前提となります。
・30歳を超えると難しくなる理由
30歳を境に親知らずの抜歯が難しくなると言われるのは、骨の硬化や歯と骨の癒着が進み、歯が動かしにくくなるためです。
この状態では抜歯時に骨を削る範囲が広がり、腫れや痛みが強く出やすく、治りも遅くなります。
さらに年齢とともに治癒力が低下し、回復にかかる時間も若い頃より延びる傾向があります。
30代は仕事や家庭で忙しい年代でもあり、炎症を繰り返すと急な発熱や口が開かないといった症状で日常生活に支障をきたすことも
少なくありません。そのため症状が出る前、比較的若いうちに抜歯をするのが安心でしょう。

・抜歯の流れと痛み・腫れを抑える工夫
当院による一般的な親知らず抜歯の流れは、以下の通りです。
- 問診での確認
- レントゲン/CT撮影
- 局所麻酔
- 抜歯
- 止血
- 術後の説明
麻酔時には、注射の痛みを和らげるために表面麻酔を行い、電動麻酔器を用いることで圧力の不快感を軽減できます。
埋伏歯などの難症例は口腔外科の専門医が対応し、不安が強い方には静脈内鎮静での処置も可能です。
術前にはしっかりうがいをして口内を清潔にし、術後は冷却や処方薬の正しい内服を徹底することで、腫れを最小限に抑えられます。
これらの工夫により、多くの方が想像するよりも快適に抜歯を受けられるケースが多いです。

・よくあるリスクと予防策
親知らずの抜歯でよくあるリスクは、以下の通りです。
- ドライソケット
- 神経・上顎洞への影響
- 出血・腫れ
ドライソケットとは、血の塊が外れて骨が露出している状態のことを指します。
激しいうがいや喫煙が原因となることが多いため、術後は指示通りに安静にしておくことが大切です。
また、親知らずが下顎の神経や上顎洞に近い位置にある場合は、しびれが出たり、まれに上顎の奥にある空洞(副鼻腔)とつながってしまうリスクがあります。そうならないよう、事前にCTで位置を確認すると防ぐことが可能です。
さらに出血や腫れは術後当日の入浴・飲酒・運動を控えることで軽減でき、処方薬を正しく服用することも大切な予防策になります。
・仕事・学校のスケジュールの立て方
親知らずの抜歯後、腫れのピークは多くの場合2〜3日目です。人によっては、1週間ほど違和感が続くこともあります。
片側だけ抜くのか、あるいは両側を同日に抜歯するかは、生え方の状態や仕事・学校の予定によって決めるのが良いでしょう。
連休や在宅勤務の日に合わせて計画すると、生活への影響を最小限にできます。
痛み止めの効き方にも個人差があるため、事前にスケジュールを調整して余裕を持って臨むことが安心につながります。

・よくある質問(FAQ)
Q:親知らずって矯正に関わらず抜いた方がいい?
A:(その方の生え方を評価した上で)将来的に痛くなる可能性はあります。
30歳を超えると親知らずと骨がくっ付いてくるので、抜くのが大変になる。
また骨の再生力も落ちるので、治りが遅くなったりするので抜くなら早めの方がいいですよ。
Q:歯列矯正で抜歯をしないのはあり?
A:親知らずは必ずしも抜歯が必要なわけではありません。
まっすぐ生えていて他の歯に影響がなければ残せますが、歯並びを乱したり矯正のスペース確保が必要な場合は抜歯を勧められます。
最終的な判断は歯の状態や矯正方法によるため、矯正歯科医に相談することが大切です。
Q:親知らずを抜くのにCTは必要?
A:親知らずの位置や神経との距離を正確に確認するため、CTが有用な場合があります。
特に埋伏している場合や神経に近い場合は、安全な抜歯のために撮影を勧められることがあります。
必要性は歯の状態によって歯科医が判断します。
Q:親知らずを抜くのに痛みはある?
A:抜歯中は局所麻酔が効いているので強い痛みは感じませんが、押されるような感覚は残ることがあります。
処置後は数日ほど腫れや痛みが出やすく、特に埋伏している親知らずではその傾向が強いです。
ただし痛み止めや冷却でコントロールできることが多く、時間の経過とともに和らいでいきます。
・まとめ:迷ったら“画像で確認して早めに判断”
親知らずを抜くかどうかは、矯正をするかどうかよりも、生え方と年齢が大きな判断材料になります。
横向きや半分だけ生えているタイプは将来トラブルを繰り返しやすく、
30歳を過ぎると抜歯が難しくなり腫れや治りの遅さにつながることもあります。
一方で、きれいに生えていて清掃できている場合や、抜歯のリスクが高い場合には経過観察になることもあるでしょう。
大切なのは「自己判断せず、まずは歯科で画像検査を受けて状態を確認すること」です。
症状が出てからあわてるよりも、痛みや治療負担が少ない若いうちに方針を決めておく方が安心です。
親知らずで迷っている方は、ぜひ一度相談してみてください。





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