投稿日:2025.9.10
ゴムかけはいつまで続く?終了のタイミングと上 手に付き合う方法
「矯正のゴムかけって、一体いつまで続くの?」「痛いし、付け忘れるし、正直面倒」矯正中、このようなお悩みはありませんか?
ゴムかけ(顎間ゴム)は、ワイヤーやマウスピースだけでは難しい上下の噛み合わせを整える重要な工程です。
しかし、その目的や期間が分からず、ただ辛いと感じている方も少なくありません。
そこで本記事では、ゴムかけの目的と平均的な期間、早く終わらせるためのコツなどについて解説します。
目次
矯正中の「ゴムかけ」いつまで続けるの?
初めて矯正治療を受ける方にとって、ワイヤーやマウスピースに小さなゴムを引っかけるのは、
想像以上に手間がかかり、分かりにくい作業のひとつです。
実際に、当院では患者さんから「ゴムかけはいつ終わりますか?」という質問がよく寄せられます。
結論から言うと、歯の動きには個人差があるので、「あと〇ヶ月です」と正確にはお答えできないのが正直なところです。
ただ、治療の段階に合わせてゴムをかける場所を変えたり、
一時的にお休みしたりしながら矯正装置が外れる直前まで使用を続けます。

ゴムかけって何のためにするの?
ゴムかけは、理想的な歯並びと噛み合わせを完成させるために用いられます。
噛み合わせ(咬合)の調整が目的
ゴムかけの目的は、上下の歯の「噛み合わせ(咬合)」を調整することです。
ワイヤーやマウスピース矯正は、主に歯を水平方向に動かし、歯列のアーチを整えるのが得意です。
しかし、上下の歯がしっかりと噛み合うように、
歯を垂直方向や前後方向に動かすといった三次元的なコントロールには限界があります。
ゴムかけは、その足りない部分を補い、歯を目的の方向へ引っ張るための補助装置の役割を担います。
例えば、出っ歯(上顎前突)の治療では、上の前歯あたりから下の奥歯にゴムをかけることが多いです。
これにより、上の歯列全体を後方へ移動させる力を加え、上下の顎のズレを改善していきます。

主に治療の中盤〜終盤に使用されることが多い
ゴムかけは、矯正治療が中盤から終盤に差しかかった段階で開始するのが一般的です。
治療の初期段階では、まず歯のガタガタを解消し、歯列全体の形を大まかに整えることを優先します。
ある程度歯が並んで動きやすい土台ができてから、最終的な仕上げとして噛み合わせの微調整を行います。
ゴムかけの「期間」はなぜ個人差があるのか?
「友達は半年で終わったのに、私はもう1年近く続けている」といったように、ゴムかけの期間は人によって大きく異なります。
その理由は以下の通りです。
歯の動き方には個人差が大きい
ゴムかけの期間が人によって違う理由は、歯の動きやすさに個人差があるからです。
歯は、歯根の周りにある骨(歯槽骨)が溶けたり、新しく作られたりを繰り返すことで移動します。
この骨の代謝スピードは、その人の年齢、骨の硬さや密度、体質など、生まれ持った身体的な特徴に左右されます。
一般的に、成長期にある10代の方は骨の新陳代謝が活発です。
そのため、歯がスムーズに動きやすい傾向があります。
一方、骨が完成している成人の方、特に骨密度が高い方は、歯の動きが比較的ゆっくりになることがあります。
そのため、同じ治療計画でも目標地点に到達するまでの時間に差が出てくるのです。
ゴムかけの「装着時間」も結果に影響する
指示された装着時間をきちんと守れているかどうかも、ゴムかけの期間を左右します。
ゴムかけは、基本的に食事と歯磨きの時間以外は装着します。
「少しだけならいいか」と外す時間が長引くと、歯に十分な力がかからないだけでなく、
せっかく動いた歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」が生じてしまう原因に。
結果として、治療期間が数ヶ月単位で延びてしまうことも珍しくありません。
早く終わらせるためにも、歯科医師の指示通りに装着時間を守ることが大切です。

ゴムかけの「場所が変わる」「お休みする」ってどういうこと?
治療の途中で、ゴムをかける歯の場所が変わったり、「今日からしばらくゴムかけはお休みです」と言われたりすることがあります。
「治療がうまくいっていないのでは?」と不安になるかもしれませんが心配は不要です。
治療の進行に合わせて「使い方」が変わる
治療の途中でゴムをかける場所が変わるのは、
治療のステージに合わせて歯を動かす方向を調整しているためです。
矯正治療は、一度にすべての歯を最終的な位置に動かすわけではありません。
段階的にステップを踏んでゴールを目指します。
そのステップごとに、動かしたい歯や動かす方向が異なるため、ゴムのかけ方も変えていく必要があるのです。
例えば、治療の序盤では上下の歯の前後のズレを治すために使っていたゴムを、
終盤では歯列全体の噛み込みを深くするために別の場所にかける、といったケースもあります。
変更や中断があっても、必ずしも悪いわけではないゴムかけの場所変更や中断は、治療が停滞しているわけではありません。
ある程度噛み合わせが整った段階で、歯や顎をその位置で安定させる「保定」の目的で、
一時的にお休みする期間を設けることもあります。
「矯正終了までゴムかけを続ける」人が多い理由
「もう見た目は綺麗に並んだのに、まだゴムかけが必要なの?」と感じることもあるかもしれません。
多くの人が矯正治療の最後まで続けるのは、最終的な仕上がりの精度を高め、治療後の安定性を確保するためです。
歯並びの見た目が綺麗に整った後も、上下の歯が機能的にしっかりと噛み合う
「理想的な噛み合わせ」を完成させるには、ミクロ単位での微調整が必要になります。

ゴムかけを上手に続けるためのポイント
ゴムかけの重要性は分かっていても、毎日の継続は大変なもの。
ここでは、面倒なゴムかけを続けるための3つのポイントをご紹介します。
ゴムを忘れずに持ち歩く習慣をゴムかけをしっかり続けるための基本は、常に予備のゴムを持ち歩くことです。
外食の際に外したり、会話中にうっかり切れてしまったりと、予期せぬタイミングでゴムがなくなることはよくあります。
その際に予備がないと、次の交換タイミングまで装着できない時間が生まれ、治療計画に遅れが生じてしまいます。
いつも使うポーチやカバンのポケット、会社のデスク、学校のロッカーなど予備を常備しておくと安心です。

装着忘れを防ぐための工夫
装着忘れを防ぐには、ゴムかけを「ルーティン」に組み込む工夫が効果的。
例えば、「朝起きて歯を磨いたら、必ず新しいゴムをつける」「夜寝る前の歯磨きの後に、
その日最後の交換をする」といった自分なりのルールを決めるのがおすすめです。
また、スマートフォンのアラームやリマインダー機能を使って、決まった時間に通知が来るように設定するのも良いでしょう。
装着時間を守ることが「期間を短くする近道」ゴムかけを早く終わらせる方法は、指示された装着時間を忠実に守り続けることです。
装着時間が短いと歯を動かすための力が不足し、治療が停滞します。
それどころか、歯が元の位置に戻ろうとする力が勝ってしまい、治療が後退することさえあります。
毎日コツコツと地道に続けることが期間を短くする最短ルートです。
ゴムかけは「矯正完了まで」続くことが多いが、前向きに捉えて!

歯科矯正のゴムかけは、正確な終了時期は個人差がありますが、治療完了まで続くことが多いです。
始めのうちは痛みや違和感、見た目のわずらわしさに心が折れそうになるかもしれません。
しかし、鏡を見るたびに歯が少しずつ理想の位置に動いているのを確認したり、
治療後の自分の姿を想像したりすることでモチベーションを保つことができます。
面倒に感じる日もあるかもしれませんが、毎日の地道な積み重ねが理想の歯並びというゴールにつながっています。
前向きにゴムかけと付き合っていきましょう。




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