投稿日:2022.12.12
虫歯があったら矯正できない?
こんにちは。札幌キュア矯正歯科です。
いつも当院のブログをご覧いただき、ありがとうございます。
「もし矯正するなら、虫歯治療とどっちを先にやるべき?」
「矯正中に虫歯ができたら、治療はどうなっちゃうの?」
歯列矯正を考えたとき、虫歯に関する不安や疑問を持つ方は少なくありません。
結論からお伝えすると、虫歯があっても矯正治療を諦める必要はありません。しかし、スムーズに治療を進めて理想の歯並びを手に入れるためには、正しい手順を踏むことが大切です。
そこで今回は矯正治療と虫歯治療の順番から、矯正中に虫歯になりやすい理由、装置ごとのケア方法などを解説します。
虫歯があると矯正できない?

結論からお伝えすると、虫歯がある状態でも矯正治療を始めることは可能です。
ごく初期の虫歯(CO:歯の表面が溶け始めた段階)で、すぐに進行する可能性が低く、急いで治療する必要がないと歯科医師が判断する場合、そのまま経過を見て矯正治療に入ることもあります。
ただし、虫歯の進行度合いによっては、悪化するリスクが高くなります。結果的に矯正治療が中断したり延長したりすることになるため、虫歯の治療を優先することが多いでしょう。
虫歯の進行が進むほど、痛みが強くなり、治療回数も多くなります。スムーズに治療を進めるためにも、まずはしっかり虫歯を治し、お口の土台を整えることが大切です。
当院のホームページにはよくある質問として虫歯に関することもお答えしておりますので、ぜひご覧ください。➡よくある質問
虫歯の進行と治療方法

虫歯は、進行度によって痛みなどの症状や治療法が大きく異なります。ここでは、虫歯の進行段階ごとの特徴と治療法について説明します。
CO:ごく初期の虫歯
歯の表面が溶け始め、白く濁って見える状態です。この段階では痛みなどの自覚症状はほとんどありません。
歯を削らずに歯磨き指導やフッ素塗布で様子を見ることが多いです。
C1:歯の表面の虫歯
歯の表面を覆うエナメル質に、黒ずみや小さな穴ができた状態です。
まだ痛みを感じることは少ないですが、放置すると進行してしまうため治療が必要になります。
虫歯の部分だけを削り、白い樹脂(歯科用レジン)を詰める治療を行うことが多く、1日で完了する場合がほとんどです。
C2:歯の内部に達した虫歯
虫歯がエナメル質の内側にある象牙質まで進んだ状態です。象牙質には神経につながる管が通っているため、冷たいものや甘いものがしみることがあります。
治療では、虫歯の部分を削り取った後、範囲に応じて金属やセラミックなどの詰め物(インレー)で補います。
C3:神経まで達した虫歯
虫歯が歯の神経(歯髄)まで達した状態です。何もしなくてもズキズキと強く痛むようになります。
この段階は、感染した神経を取り除き、歯の根の中をきれいにする「根管治療」が必要です。治療後は、土台を立ててから歯全体を覆う被せ物(クラウン)を装着します。
C4:歯の根だけが残った虫歯
歯の大部分が溶けてなくなり、根だけが残った状態です。
歯を残すことが難しく、多くの場合、抜歯という選択になります歯を抜いた後は、その部分の機能を補うために、ブリッジや入れ歯、インプラントといった治療を検討しなくてはなりません。
虫歯と矯正どちらの治療を先にするべき?

矯正治療を考えたとき、もし虫歯が見つかったら「どちらを先に治療すればいいの?」と迷いますよね。
虫歯治療が必要なければすぐに矯正治療を始められますが、上記のように虫歯がC1〜C4の場合は虫歯治療を優先して行います。
これには、主に2つの理由があります。
1つ目の理由は、治療計画の基になる「歯型」が変わってしまうのを防ぐためです。矯正治療では、まず精密検査でお口の中の歯型を採り、それをもとに治療計画を立てたり、マウスピースなどの装置を作製したりします。
もし先に装置を作ってから虫歯治療で歯を削ったり詰め物をしたりすると、歯の形が変わり、時間をかけて作製した装置が合わなくなる可能性があります。
その場合、装置の作り直しが必要となり、治療期間が延びてしまうかもしれません。
2つ目の理由は、矯正中に虫歯が悪化するのを避けるためです。矯正装置を装着すると、どうしても歯磨きがしにくくなるため、小さな虫歯でも進行しやすくなる傾向があります。
特に、神経にまで達するような重度の虫歯(C3、C4)を放置したまま矯正を始めると、治療の途中で強い痛みが出たり、歯の根に問題が起きたりするリスクを高めてしまいます。
ただし、注意したいのが「抜歯を伴う矯正治療」のケースです。歯をきれいに並べるスペースを作るために、計画の一環として歯を抜くことがあります。
もし虫歯になっている歯がその抜歯対象の歯だった場合、費用をかけて治療しても、結局すぐに抜くことになってしまうのは避けたいところです。
そこで、まず矯正歯科でカウンセリングや精密検査を受けることをおすすめします。
そこで治療全体の計画、特に抜歯の必要性などを把握した上で、必要な虫歯治療を進めていくと無駄のない治療につながるでしょう。もちろん、虫歯が無いに越したことはありません。
歯石が沈着している場合、歯石の下に虫歯があることや、歯と歯の間、被せ物や詰め物の下など、すぐに見つけにくい虫歯もあります。
定期的に歯科検診やメンテナンスに行き、事前に虫歯や歯周病を予防しておきましょう。
矯正中に虫歯が見つかったら?
矯正治療の途中で虫歯が見つかることもあります。その場合の対応は、虫歯の進行度によって異なります。
ごく初期の小さな虫歯であれば、矯正治療を続けながら簡単な処置で済むことも少なくありません。
しかし、進行状態によっては矯正治療を中断するケースもあります。虫歯治療のために矯正を中断するのは、主に2つの理由からです。
1つは、虫歯の悪化を防ぐため。穴が開くほど進行した虫歯を放置すると、汚れが溜まりやすくなり、矯正装置の下でさらに症状が悪化しかねません。
場合によっては歯の神経にまで影響が及んだり、抜歯が必要になったりするケースもあるため、早めの対処が求められます。もう1つは、矯正装置に影響が出る可能性があるためです。
虫歯治療で歯を削ったり詰物をしたりすると歯の形が変わり、矯正装置が合わなくなることがあります。その場合、装置の調整や作り直しが必要になることも考えられます。
矯正治療中は虫歯になりやすい
ワイヤー矯正の場合、装置の周りは歯ブラシが届きにくく、磨き残しが出やすくなります。
一方、マウスピース矯正は取り外しが可能ですが、装着中は唾液による自浄作用が働きにくくなる上、歯に接着した「アタッチメント」という突起の周りも汚れが溜まりやすくなります。
特に、歯科検診で虫歯になりやすいと指摘された場合には注意が必要です。矯正治療を始めた場合は、今まで以上に歯磨きや虫歯予防を念入りにしていくようにしましょう。
矯正装置によって異なる?虫歯リスクとケアのポイント
どの矯正装置を選んでも、治療中の丁寧な歯磨きは欠かせません。しかし、装置によって虫歯リスクの度合いやケアのポイントは異なります。
ここでは、代表的な矯正装置ごとに、虫歯予防のコツをご紹介します。
①表側矯正

歯の表側に「ブラケット」という装置を貼り付け、ワイヤーを通して歯を動かす、広く知られた治療法です。
構造的にブラケットの周りやワイヤーの下は食べかすが残りやすく、磨き残しから虫歯になってしまうことも少なくありません。
歯磨きが難しい箇所は、歯科医院に相談して歯磨き指導でアドバイスを受けるようにしましょう。
また、歯ブラシ以外にもタフトブラシや歯間ブラシなどの補助用具を取り入れて磨くこともおすすめです。
②裏側矯正(舌側矯正)

歯の裏側に装置を取り付けるため、外からは見えにくいのが特徴です。磨きにくさを感じるかもしれませんが、歯の裏側は唾液腺に近く、常に唾液で潤っています。
唾液には、お口の中の汚れを洗い流したり細菌の活動を抑えたりする働きがあるため、その作用を受けやすい裏側矯正は、表側矯正に比べて虫歯になりにくい傾向があります。
ただし、唾液の作用だけでは虫歯を完全に防げるわけではありません。装置が見えにくく磨き残しにも気づきにくいため、手鏡で確認しながら丁寧に磨くなどの工夫が大切です。
③マウスピース型矯正

透明なマウスピース型の装置を、ご自身で交換しながら歯を動かしていく治療法です。マウスピース矯正は取り外しができるため、装置を外した状態で歯磨きをすることができます。
比較的お手入れがしやすい装置ですが、歯磨きとマウスピースの清掃が必要になります。
マウスピースはプラスチック素材なので、強くこすって洗うと傷が付き、その傷に菌が繁殖してしまうことがあります。
歯磨きをおろそかにしているとマウスピースにも歯垢や汚れが付着しやすくなるため、お口の中とマウスピースの両方のお手入れを丁寧にすることが大切です。
矯正治療中の虫歯予防
矯正装置を装着すると、どうしても食べかすや歯垢が残りやすくなるため、これまで以上に虫歯や歯周病の予防を意識することが大切です。
せっかく歯並びがきれいになっても、装置を外したら虫歯ができていた、という事態は避けたいですよね。
1.毎日のセルフケアを丁寧に行う

装置の周りやワイヤーの上下は、歯ブラシの角度を細かく変えながら磨くのがコツです。
奥歯は横方向に、前歯は縦方向にブラシを動かし、一本一本の歯を意識して丁寧に磨きましょう。
歯ブラシだけでは届きにくい歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目、装置の周りは、タフトブラシ(毛先が小さなブラシ)やデンタルフロス、歯間ブラシなどを併用すると、効率良く歯垢を取り除くことができます。
2.食生活を見直す

ガムやお餅、キャラメルのように粘着性が高く、装置に付きやすい食べ物は、治療中はなるべく控えるのが望ましいでしょう。
また、甘い飲み物や食べ物を少量ずつ長時間にわたって口にする「だらだら食い」は、お口の中が酸性の状態を長く保ってしまうため、歯が溶けやすく虫歯のリスクを高めます。
食事や間食は、時間を決めて摂るように心がけましょう。
3.フッ素を有効活用する

フッ素には、歯の質を強くして酸に溶けにくくする「歯質強化」や、ごく初期の虫歯の修復を助ける「再石灰化の促進」といった働きが期待できます。
ご自宅でフッ素配合の歯磨き剤や洗口液を使うことに加え、歯科医院で定期的にフッ素塗布してもらうと、より予防効果が高まります。
4.プロによる定期的なメンテナンスを受ける

ご自身でのケアだけでは、どうしても落としきれない歯垢や歯石が蓄積することがあります。
定期的に歯科医院で検診を受け、クリーニング(PMTC)でお口の中を隅々まで清掃してもらうことが、虫歯や歯周病のリスクを減らすことにつながります。
まとめ
虫歯がある状態でも、軽度の虫歯であれば矯正治療を始めることはできますが、治療途中で悪化してしまうと、しみたり痛みが出たりするなど、不快なトラブルが起きやすくなります。
できれば虫歯がない状態や、虫歯の処置が終わっている状態で矯正治療を始める方が良いでしょう。
また、矯正治療中にもセルフケアや、歯科医院のクリーニングを受けて虫歯予防を続けることも大切です。
歯並びが整った後も虫歯の無い健康な口腔内を保つようにお手入れや予防を続けるようにしましょう。
札幌キュア矯正歯科では、矯正治療に関するご不安やお悩みについて、カウンセリングで丁寧にお話を伺っております。
これから治療を始めたいとお考えの方は、どうぞお気軽にご相談ください。




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