投稿日:2023.3.29
歯科矯正用アンカースクリューって何?
こんにちは、札幌キュア矯正歯科です。
当院のブログを見つけてくださりありがとうございます!
矯正歯科の治療で、「アンカースクリュー」と呼ばれる器具を使うことがあります。
今回は、口元を下げたいときなどに用いられる「アンカースクリュー」について
治療の目的や、メリット、デメリットなどについて詳しくご紹介します。
目次
アンカースクリューって何?
歯科矯正用アンカースクリューとは、直径1〜2㎜ほどの小さな医療用のネジです。
ネジはチタン製の金属でできており、チタンは体になじみやすく、アレルギーを起こしにくい金属です。
アンカースクリューは骨に埋め込むことで、歯を動かす補助器具として利用することがあります。
アンカースクリューの目的
矯正治療では歯を動かすために、強固な固定源が必要となる場合があります。
アンカースクリューを埋入することで、不足している支点や、強固な支点を補うことができるため、効率的に特定の歯だけを動かすことができます。
具体的には歯列を後ろに下げることや、歯ぐきの方向に圧下させることが可能です。
アンカースクリューは痛い?
アンカースクリューを埋入する時の痛みを不安に思う方も多いかもしれません。
歯ぐきには痛覚があるため、治療を行う際には局所麻酔を行います。
骨には痛覚がないため、歯ぐきの表面にわずかな麻酔を施すだけで十分です。
しばらくして麻酔が切れると痛みを感じることがあります。治療後には痛み止めを処方するので、必要に応じて服用していただきます。通常、翌日には痛みが和らぐことがほとんどです。
アンカースクリューにはどんなメリット・デメリットがある?
アンカースクリューを利用することで歯の移動効率を高くする効果や、難しい歯の移動もできるようになる効果が期待できます。
次に治療においてのアンカースクリューのメリットとデメリットについてご説明します。
1.アンカースクリューのメリット
①臼歯に固定しなくて良い
例えば、出っ歯になっている前歯を後方に下げたい場合、通常の矯正治療では前歯と臼歯が引っ張りあうことになりますが、臼歯の代わりにアンカースクリューを固定源とすることで前歯を動かすことができます。
そのため、臼歯が動くことを避けることができます。
②固定方法を簡単にする
アンカースクリューを利用して前歯部を引っ張ることができれば、左右の臼歯部に連結させる固定をする必要がありません。
また、ヘッドギアと呼ばれる後頭部や首などを固定源とする装置があります。
この装置は、お口の外側に装着することで上顎や歯列に力を加えて、上顎の成長を抑制したり、上の前歯を後ろに引っ込めたりする目的で使用することがあります。
しかし、ヘッドギアは長時間の間装着をしないと効果が得られにくいというデメリットがあり、患者様の協力が不可欠です。
アンカースクリューを埋入することで、長時間のヘッドギアの使用を控えることができます。
また、付け外しの手間もなく、お口の外に器具が見えることもありません。
③困難な歯の移動にも対応できる
これまで難しいとされていた大臼歯の圧下(歯ぐきの方向に押し込むこと)や、臼歯の後ろ側への移動は、歯科用アンカースクリューを使った装置であれば対応することができます。
④治療期間の短縮ができる
骨に埋め込み固定させるアンカースクリューは、安定後は動くことがありません。
従来の矯正治療では、歯と歯の引っ張り合いになるため、時間をかけて歯並びを移動させますが、アンカースクリューを用いることで、動かしたい歯だけを効率良く動かすことができ、結果的に治療期間が短縮できます。
2.アンカースクリューのデメリット
①抜け落ちてしまうことがある
アンカースクリューの埋入は成功率が80〜90%と言われており、患者様の骨の状態や口腔衛生状態によっては、稀に安定せずに抜け落ちてしまうこともあります。
インプラントとは目的が異なり、矯正治療が終わった後には速やかに撤去する前提で埋入を行います。
そのため、不潔になって周りの歯ぐきに炎症が起こるとスクリューが抜けてしまいやすい傾向があります。
②脱落してしまった場合は再度埋め込む必要がある
アンカースクリューが脱落してしまった場合は、再度埋め込む必要があります。
脱落した部分の穴は小さいですが、回復には時間がかかるため、埋め直しをするときは違う場所への埋入となることがあります。
③歯根を傷つけることがある
アンカースクリューを歯根と歯根の間の歯槽骨に打つ場合は、スクリューの埋入時に、稀に歯根を傷つけてしまう可能性があります。
④埋入後に違和感がある
アンカースクリューの埋入後には口の中に多少の違和感があります。
しかし、徐々に慣れてくることがほとんどです。
違和感を感じた時にも指や舌で不要に触らないように注意しましょう。
アンカースクリューの対応策と使用例
上記のデメリットに対して、もちろん対応策がありますのでご安心ください。
1.安定するまで過度な刺激をしない
アンカースクリューが骨にしっかりと固定されて安定するまでは人によって個人差がありますが、1〜2ヶ月程度かかります。
特に術後2週間はアンカースクリューの周辺は不安定であるため、指で触ったり舌で触るなど物理的な刺激を与えないようにしましょう。
また、この期間は歯ブラシを直接当てることも控えて、うがいだけをするようにしましょう。
食べ物で刺激が加わることもあるため、硬い食べ物やガムなどの粘着質なものを控えるようにしましょう。
2.アンカースクリューのお手入れをする
アンカースクリューの周りに汚れや歯垢が付着して炎症を起こすと、脱落を起こすことに繋がります。
埋入後すぐは、歯ブラシは使用せず、うがい薬を使い、うがいをこまめにすることでお手入れしましょう。
アンカースクリューが安定した後は歯ブラシを当てセルフケアをします。
歯ブラシの毛質は柔らかめのもので優しくブラッシングしてください。
柔らかめのタフトブラシを使うと、周りの装置やゴムなどに当たりにくく、ピンポイントで汚れを落とすことができて便利です。
3.口蓋にアンカースクリューを打つ
当院ではアンカースクリューを上顎の口蓋の中央に打って使用することが多く、歯根を傷つけてしまうという心配はありません。
下の写真が口蓋の中央に埋め込まれたアンカースクリューです。
埋入後、安定してからアンカースクリューに装置を装着し、ワイヤーにフックを取り付けます。
アンカースクリューを固定源として、装置とゴムで引っ張ることで後方に歯列を下げて歯並びを改善させます。
アンカースクリューは強固に動かないため、臼歯の移動を防ぎ、正確な位置に歯を動かすことができるため、より美しく仕上げることができます。
まとめ
矯正歯科用のアンカースクリューを利用することで、効率的に歯を後方に下げることができます。
しかし、術後すぐは安定していないため、物理的な刺激が加わることや、汚れが付着したままにしておくと、感染して抜け落ちてしまうリスクもあります。
適切なお手入れをして、むやみに触らず、快適に治療を進められるようにしましょう。
これらのメリット・デメリットを理解した上で、アンカースクリューを用いた治療を行うことが重要です。
もちろん、全てのケースでアンカースクリューを使用する必要があるわけではありません。
アンカースクリューの必要性は、歯の状態や治療目標によって異なります。
より満足できる仕上がりを目指すためには、事前のカウンセリングや精密検査を受けていただいた上で、歯科医師が診断することが必要です。
患者様に最適な治療方法をご提案する際には、アンカースクリューの必要性も含めて検討いたします。
歯並びでお悩みの方や、矯正治療をご検討の方は、無料カウンセリングがございます。
ぜひ、お気軽にご相談ください。