矯正後の「後戻り」をご存知ですか?
「矯正治療をしたのに、また歯並びが悪くなってきた…」といった話を耳にしたことはありませんか?このように矯正治療後、せっかく整えた歯がまた乱れてきてしまうことを「後戻り」と呼びます。
歯が矯正治療で動くということは、他の要因によっても動くということです。また矯正治療が終了して間もない時期には、歯周辺の組織がまだ不安定なため、元に戻りやすい時期でもあります。
矯正治療では、「後戻り」を起こさないために「保定期間」と呼ばれる期間があります。このページでは、矯正治療後の後戻りとそれを防ぐ保定期間についてお話ししていきます。
目次
「後戻り」はどうして起こる?
せっかく矯正治療を行なった歯並びが再び乱れてくる「後戻り」。後戻りの原因にはどのようなことがあるのでしょうか?
- 矯正終了後のリテーナーを正しく使用しなかった
- 歯ぎしり、口呼吸など歯並びを悪くする原因がある
- 矯正治療後に親知らずが生えた
- 自己判断で治療をやめた
- 矯正治療が不十分だった
リテーナー(保定装置)を正しく使用しなかった
矯正治療が完了すると、装置を外しますが、その日から、何も付けなくて良い、ということではありません。装置が外れた後も、歯や歯の周辺組織を安定させるため、「リテーナー(保定装置)」の装着が必要となります。
リテーナーには取り外しができないものとできるものがありますが、札幌キュア矯正歯科では基本的に、取り外し可能なマウスピースタイプ(クリアタイプ)のリテーナーを使用しています。
リテーナーは治療完了後間もない時期には、1 日 20 時間以上の装着が必要となります。そこから、少しずつ装着時間を減らしていき、最終的にはリテーナー無しで生活ができるようになります。
装着時間や装着の期間は、歯の状態を見ながら歯科医がご案内しますが、患者さまご自身で判断して装着時間を短くしたり、装着をやめてしまう場合、後戻りのリスクが生じます。
保定期間も個人差がありますが、「矯正治療にかかった時間 + 半年程度」が平均的な保定期間の長さとなります。この期間は治療の仕上げとしての重要な期間ですので、リテーナーの装着時間に関しては歯科医師・スタッフの指示に従ってください。
歯並びを悪くする要因がある
歯ぎしり・口呼吸・姿勢など、歯並びを悪くする要因がある場合、少しづつではありますが、歯並びに影響がでてきます。口呼吸に関しては、歯並びが原因となっていた場合、矯正治療で改善が見られますが、鼻の病気などその他の原因も存在します。
また、矯正治療後に親知らずが生えてきた場合、その生え方によっては他の歯を押すなど、歯並びに影響を与える場合もあります。
矯正治療が不十分だった
治療が中途半端な場合にも後戻りのリスクがあります。「歯が揃ってきたから」と矯正治療を自己判断でやめてしまう患者さま側の原因もあれば、治療計画が不十分だったという歯科医師側の原因もあることでしょう。
矯正治療は歯並びさえ整えば良い、というものではなく、かみ合わせの調整も必要不可欠な要素となります。
矯正歯科医は計画に沿って治療を行なっていますので、歯並びが整ってきたからといって治療を中断しては、それまでの治療が台無しになってしまいます。
逆に、担当歯科医が歯並びだけを重視し、精密検査を行わない・かみ合わせに関する言及がない場合には、治療の計画について確認してみることをおすすめします。
精密検査は後戻りを起こさないためにも重要です
歯科用3DCT
札幌キュア矯正歯科では矯正治療前の精密検査で歯科用 CT を使用しています。歯科用 CT で頭部・顎部の肉眼では見えない部分を把握し、矯正治療後に後戻りを引き起こす可能性のある親知らず・埋没歯なども事前に検知することができます。
また歯科用 CT では顎部分を立体的に捉えることができます。そのため歯を支える歯槽骨の大きさ・歯の傾き・かみ合わせなどをデジタルデータで確認・分析することができ、無理のない治療計画に役立ちます。
デジタルシミュレーションでわかりやすく
治療前にコンピューター上でシミュレーションを行います。そのシミュレーションや CT のデータをもとに、無理のない歯の移動や抜歯が必要かどうかなどについて模索していきます。
患者さまにとっては、歯の動きのシミュレーションを見ることで、どの段階でどう歯が動いているのかという治療の全体像が分かります。何事もゴールが見えないと辛いものですが、全体像を把握していることで、長い矯正治療期間中のモチベーション維持にも役立ちます。
また、画像でのシミュレーションを見ることで、治療に関しての疑問や不安も具体的に相談しやすくなります。患者さまと歯科医師の間で、治療についてのコミュニケーションが密に取れていることは治療の進行に良い影響を与えます。