投稿日:2025.5.9
歯並びによって口臭が酷くなる?
「しっかり歯磨きしてるのに、口臭が気になる」「マスクを外すのがちょっと不安」「もしかして、口臭の原因って歯並び?」そんなお悩みはありませんか?実は、歯並びの悪さが口臭の隠れた原因になっていることがあります。歯が重なっていたり、噛み合わせが悪かったりすると、歯磨きがしにくくなるだけでなく、お口が乾燥しやすくなるなど、口臭が発生しやすい環境を作ってしまうのです。この記事では、なぜ歯並びが悪いと口臭につながるのか、その具体的な理由から、ご自身の口臭をチェックする方法、解決策となる歯列矯正治療について解説します。
目次
口臭と歯並びの密接な関係
歯並びの悪さと口臭、一見関係なさそうに思えるかもしれません。しかし、歯並びが悪いことでお口の中の環境が悪化すると、慢性的な口臭を引き起こしてしまうことがあります。たとえば、歯が重なっていたり傾いていたりすると、食べかすやプラーク(歯垢)が溜まりやすくなる一方、歯磨きでそれらをきれいに取り除くことが難しくなります。その結果、お口の中で細菌が増殖し、これらが分解される過程で臭いのもととなるガス、「揮発性硫黄化合物(きはつせいいおうかごうぶつ)」が発生します。ニンニクなど食べ物による一時的な口臭とは異なり、歯並びの悪さに起因する口臭は、原因を取り除かない限り持続しやすいです。
歯並びが原因で口臭が悪化する3つの理由
では、具体的に歯並びの悪さがどのように口臭に繋がるのでしょうか。主な理由は3つ考えられます。
歯磨き不十分になりやすいため
歯が重なり合っていたり、傾いていたりすると歯ブラシの毛先が届きにくい場所ができてしまいます。こうした部分にプラークが蓄積しやすく、磨き残しが多くなりがちです。磨き残されたプラークは、むし歯や歯周病のリスクを高めるだけでなく、細菌が繁殖する温床となり、口臭の原因となるガスを発生させます。
口呼吸によるお口の乾燥が引き起こされるため
出っ歯や開咬(前歯が噛み合わない状態)など、歯並びによっては唇が閉じにくくなることがあります。すると、無意識のうちに口で呼吸する「口呼吸」の癖がつきやすくなります。口呼吸は、お口の中を乾燥させ、唾液の分泌量を減少させてしまうことも。唾液には、お口の中を洗い流す自浄作用や、細菌の増殖を抑える抗菌作用がありますが、乾燥によってこれらの働きが弱まってしまうのです。乾燥した環境は、口臭の原因菌を含む多くの細菌にとって増殖しやすい状況を作り出します。そのため、虫歯や歯周病のリスクも高まります。
咀嚼(そしゃく)機能が低下するため
噛み合わせが悪いと、食べ物を効率よく、また十分に噛み砕くことが難しくなります。よく噛めないと、食べかすがお口の中に残りやすくなり、それが細菌のエサとなってしまいます。さらに、よく噛むことは唾液の分泌を促すことができますが、咀嚼が不十分だと唾液の分泌も少なくなりがちで、前述した唾液の自浄作用や抗菌作用が十分に発揮されにくくなります。
口臭を引き起こす代表的な歯並びの問題
特に以下のような歯並びの問題は、口臭の原因となりやすいと言えます。
叢生(そうせい)
歯がデコボコに重なり合って生えている状態。歯ブラシが届きにくく、清掃不良を招きやすい代表例です。
出っ歯(上顎前突)
上の前歯が前方に突出している状態。唇が閉じにくく、口呼吸になりやすい傾向があります。
開咬(かいこう)
奥歯で噛んでも前歯が噛み合わず、隙間ができてしまう状態。食べ物を前歯で噛み切れず、口呼吸の原因にもなりやすいです。
受け口(下顎前突)
下の歯が上の歯より前に出ている状態。噛み合わせが悪く、咀嚼効率が低下しやすい傾向があります。
自分の口臭をチェックする方法
口臭は自分では気づきにくいこともあります。気になる場合は、以下の方法でセルフチェックを試してみるのもよいでしょう。
- 清潔な指で舌の奥などを触り、その指の臭いを嗅いでみる。
- コップやビニール袋に息を吹き込み、一度閉じてから臭いを嗅いでみる。
- 市販の口臭チェッカーを使用してみる。
ただし、自分の口臭には慣れてしまって客観的な判断が難しい場合も少なくありません。より確実に知りたい場合は、信頼できるご家族や友人に尋ねてみるか、歯科医院で歯科医師や歯科衛生士に相談することをおすすめします。
歯並びが原因の口臭を改善する方法
毎日のオーラルケアは口臭予防の基本となります。ただ、歯並びが原因の口臭を根本から改善するには、歯列矯正治療が最も効果的です。現在は様々な矯正方法があり、ライフスタイルや予算に合わせて選択できます。当院が取り扱っている装置についてはこちら
表側矯正
表側矯正は、歯の表面に金属製またはセラミック製のブラケットという装置を取り付け、ワイヤーを通して歯を動かしていく一般的な方法です。比較的多くの症例に対応でき、安定した治療効果が期待できます。一方で、装置が歯の表側にあるため、見た目が気になる方もいるかもしれません。
裏側矯正(舌側矯正)
裏側矯正(舌側矯正)では、歯の裏側に装置を取り付けるため、外から装置が見えにくいという特徴があります。治療効果は表側矯正と同様に期待できる一方、装置が舌に触れるため、慣れるまでは発音や食事に少し影響が出ることがあります。
マウスピース型矯正(インビザラインなど)
マウスピース型矯正は、透明で取り外しが可能なマウスピース型の装置を段階的に交換しながら歯を動かす治療法です。装置が目立ちにくく、食事や歯磨きの際に自分で取り外せる点がメリットと言えるでしょう。ただし、歯並びの状態によっては、この方法での治療が難しいケースもあります。
歯列矯正中に口臭が気になる場合の対処法
歯列矯正治療中は、矯正装置の周りに食べかすや歯垢(プラーク)が残りやすく、それが原因で口臭が発生することがあります。もし口臭が気になる場合には、次のような対処法を試してみましょう。矯正中の歯磨きについて詳しくはこちら
矯正装置の周辺を清掃する
まずは、矯正装置そのものと、装置周辺の歯を丁寧に清掃することです。通常の歯ブラシに加えて、歯間ブラシやタフトブラシ(毛束が一つになった小さなブラシ)といった専用の清掃用具を使用すると、細かい部分の汚れも効果的に除去できます。
マウスウォッシュを使用する
毎日の歯磨きに加えて、補助的に洗口液(マウスウォッシュ)を活用するのも良い方法です。お口の中をすすぐことで細菌の増殖を抑え、口内を爽やかに保てます。
定期的にクリーニングを受ける
毎日のケアだけではどうしても落としきれない汚れもありますので、定期的に歯科医院を受診し、クリーニングを受けることが大切です。歯科医師や歯科衛生士が装置の周りを含めてお口の中全体を隅々まできれいに清掃してくれます。
最後に
歯並びが悪いと、歯磨きが不十分になりやすくプラークが溜まったり、口呼吸によってお口が乾燥したり、食べ物をしっかり噛めずに唾液の分泌が減ったりすることで、口臭が発生しやすくなります。特に叢生(デコボコ歯)や出っ歯、開咬などは注意が必要です。毎日の丁寧な歯磨きや舌ケアは口臭予防の基本ですが、歯並びが根本的な原因である場合、歯列矯正治療が最も効果的な解決策となります。口臭はご自身では気づきにくい場合もある、デリケートなお悩みです。歯並びが関係しているかもしれないと感じたら、一度歯科医師に相談してみてはいかがでしょうか。当院でも矯正治療に関するご相談を受け付けております。歯並びのことで気になる点がありましたら、どうぞお気軽にお声がけください。カウンセリング予約はこちら